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片山修のずだぶくろトップインタビュー 第4回 八郷隆弘氏(本田技研工業 代表取締役社長執行役員)後編

「とんがりを失った」ホンダ、完全復活の予兆…過去と決別の「聖域なき経営改革」断行

構成=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

オープンイノベーション

片山 ホンダは、独自技術にこだわって現在の地位を築いてきました。一方で、自動運転、環境対応、予防安全など、自動車に必要な技術はあらゆる分野に広がっています。これらすべてを自社開発することは、もはや不可能ですね。

八郷 電動化、自動運転などは、ホンダの独自性、特徴を出していく。一方で、自前では難しい分野も多くあります。もともと自動車は、8割は外から買ってきてつくるといわれますが、僕が入社した頃は、工場は機械仕掛けが多かった。1990年代から電子が入り始めましたが、それでも、電子機器メーカーさんと現在のように深く付き合うことになるとは思っていなかった。

 今後、もう一段階、お付き合いする方々が変わってきます。自前でできないところは、他社とウィン・ウィンの関係をつくりながらやっていきたい。われわれは、それを拒みません。

片山 技術は高度かつ複雑化し、電子化が進んでシステマチックになっています。オープンイノベーションなしには、自動車メーカーは生き残れませんね。

八郷 9月に、赤坂に「HondaイノベーションラボTokyo」を開設しました。先陣を切って、こちらから仕掛け、いろんな方々との接点を設けようとしています。

片山 ホンダは、03年にシリコンバレーに「HRIA(ホンダ・リサーチ・インスチチュート・アメリカ)」の拠点を設置するなど、先見性をもって、しかるべきネットワークをつくってきました。

八郷 はい。今後は、それを広く発信していきたいと思っています。

生産から“元気な製造業”に

片山 80~90年代のホンダは、とんがったイメージがありましたが、2000年以降、そのイメージが薄れてきた。今ひとつ元気がない印象です。

八郷 例えば、アジアや中国はお客さまの期待値が大きくて、新しい商品を出すとすごく喜んでくれます。日本に戻ってきて、国内は少し元気がないと感じましたね。これから元気にしないといけない。

片山 ホンダだけではないと思います。日本全体に元気がないから、日本経済を引っ張っていくべき自動車産業が、今ひとつ元気を出し切れないのではないか。

八郷 大切なのは、現場です。社長就任後に工場を回りましたが、生産の人たちが、ちょっと不安がるんですね。つまり、これから先、国内製造業をいかに維持するのかと。

片山 ホンダは、グローバルで生産能力約555万台に対し、販売台数470万台と約80万台の余剰生産能力があります。加えて、国内市場は空洞化、ロボットなど自動化、IoTの導入などによって職がなくなるといわれ、従業員は漠然とした不安を抱えている。モチベーションを高める術はありますか。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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