ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 世界席巻した国内PC勢が瀕死状態  > 2ページ目
NEW

かつて世界席巻の国内PC勢、世界シェアほぼ0%でひたすら売却先探す瀕死状態

文=編集部
【この記事のキーワード】, , ,

富士通はITサービス事業に注力

 富士通は15年10月に発表した経営計画でIT(情報技術)サービス事業に注力する方針を明確にした。非中核と位置づけたパソコン事業は今年2月に分社、連結決算から切り離す準備を整えた。

 富士通にとってパソコン事業の分離はここ4~5年、経営上の懸案だった。前述のように富士通のパソコンの15年の国内出荷台数シェアは2位だが、世界シェアは1%台。国内シェアも14年比で2.1ポイント下がった。

 16年3月期のパソコン・携帯電話事業の売り上げは前期比8%減の6513億円だが、部門営業利益は開示していない。日本経済新聞は「15年度(16年3月期)のパソコン事業は100億円超の赤字だった」と報じている。

 16年4~6月期のパソコン・携帯電話事業の売上高は1259億円で前年同期に比べて17%減少した。競争力を失ったパソコン事業の売却・統合は待ったなしだった。

 富士通は、前述の東芝・VAIOとの3社統合が破談した後に米HPとも交渉したが、徹底的に合理化を求める相手との溝は埋まらなかった。最後にたどり着いたのが、レノボへのパソコン事業の売却だった。

日本勢は撤退・売却が相次ぐ

 かつて日本メーカーは世界のパソコン市場を席巻していた。

 東芝が世界で初めて発売したノートパソコンの「ダイナブック」は、94年から7年連続でノートパソコン市場の世界首位だった。

 一方、国内ではNECが圧倒的なシェアを誇っていた。

 しかし2000年代になると、中国や台湾に製造委託した低価格パソコンが主流になった。15年の世界シェアは中国レノボが20.7%、米HPが19.4%、米デルが14.1%、米アップルが7.5%、台湾のエイサーが7.1%(米IDC調査)。上位5社で市場の7割近くを占めた。米国勢も生産は中国や台湾に任せている。

 さらに、スマホやタブレット端末の登場でパソコン市場そのものが縮小。15年の世界出荷台数は、前年比10%減の2.7億万台で7年ぶりに3億台を割り込んだ。

 この間、日本勢のパソコン事業からの撤退が相次いだ。カシオ計算機、キヤノン、京セラ、日立製作所、三洋電機、シャープ、パイオニア、三菱電機などが撤退。国内トップシェアのNECは11年に中国レノボと合弁会社を設立。ソニーは14年パソコン事業を切り離し、投資ファンドの日本産業パートナーズが大株主となってVAIOを継承。富士通は分社化し、レノボの傘下に入る。

 残るは東芝だが、すでに分社化しており、もはやどこに売却するかを探すだけの状況だ。東芝が外資系にパソコン事業を売却すれば、日本のパソコン市場は9割を外資系が占めることになる。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

かつて世界席巻の国内PC勢、世界シェアほぼ0%でひたすら売却先探す瀕死状態のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!