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特別対談 山田正彦元農林水産大臣×三宅洋平

日本破滅への不平等条約だった!? 誰でもわかる! TPPのココがおかしい

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三宅 日本なんですか。

山田 以前、アメリカを訪問した時に、全米小麦協会長から「これからは、小麦も遺伝子組み換え種子に切り替える」「アメリカでも遺伝子組み換え小麦に関しては抵抗がある。だから、これはいわゆる日本がターゲットだ」とハッキリ言われました。日本に輸出して日本に食べてもらうんだってね。かつては、アメリカでも、「小麦だけは遺伝子組み換えはやらない」と言っていました。アメリカの政府高官に、「では、なぜ大豆とトウモロコシではやったんだ?」と聞いたら、「あれは家畜が食べるものだから」と答えていたわけです。ところが、その後、小麦でも開発に着手し、すでに遺伝子組み換え種子の稲がモンサントと住友化学の間で開発されています。それはいつまでも青々としていて枯れないんだけど、気持ち悪いですよね? そうした遺伝子組み換え食品に関して、TPP協定ではどう扱われているかといえば、第2章第27条で「未承認の遺伝子組み換え作物の紛争処理手続きを設ける」と書かれている。さらに、未承認の遺伝子組み換え商品が入ってきた場合でも、早期に承認しなければならない、ということが書かれているんです。

三宅 そもそもTPP協定は遺伝子組み換え食品を推進していますし、アメリカ政府も、「遺伝子組み換え食品が身体に悪いということは科学的には立証されていないし、むしろ世界の人口増加に対応できる素晴らしい技術だ」という趣旨の見解を発表していますよね。そうなると、日本政府がそうした考えを踏襲していく可能性は高いでしょうね。今は、店で売られている豆腐の食品ラベルに「遺伝子組み換え食品ではありません」と表示されていますが、今後、それもなくなってしまうでしょう。

山田 そうです。事実、アメリカでは、「ダーク法案(暗黒法。アメリカ人の知る権利を奪う法。DARK:The Deny Americans The Right to Know)」と呼ばれる、遺伝子組み換え表示をしてはいけないという法案が可決されそうになっています。いずれは、日本もそうなってしまう危険があります。

三宅 国産かどうかさえも、表示しなくてOKになってしまうんですよね。

山田 ええ。TPP協定の条文を精査していくと、「表示をしてはならない」と読めますからね。将来的には商品名などの単純表示しかできなくなるのではないという不安を覚えました。カリフォルニアで、組み換え遺伝子を持ったブロッコリーを見たことがありますが、2週間経っても青々としているんです。おそらく沖縄で作ったものであれば、3日間で黄色くなってしまうでしょう。

三宅 僕自身は日本人として、味噌や醤油、納豆、豆腐といった大豆食品の自給率が100%ではないという現状でさえ、なんとかならないものかと思ってしまうんですが、それとは程遠い世界になってしまうんですもんね。遺伝子組み換えだろうが、産地がどこだろうが、「大豆は大豆でしょ」という、まるでモノクロの世界に……。今、僕は沖縄・那覇の北部に住んでいるんですが、以前、山田さんに来て頂いた時、山田さんが畑のオクラを生のまま齧って食べたんですよね(笑)。

山田 あれ、オクラだったかな(笑)。

三宅 あそこは、広大な畑が広がっていて、野花が咲いていて、蜂がブンブン飛び回っていて。そうしたら山田さんが、「ここに巣箱を置いたら、蜂蜜がとれるよ」って。それを聞いたときに、さすが元農林水産大臣だな、と思いました(笑)。僕、いつか養蜂をやってみたいと思っているんです。実際、僕の世代では、慣行農法ではなく、オーガニックやナチュラルな農法で生計をたてたいといって、新しい「農」にチャレンジしている人が結構いるんです。特に、震災、原発事故以降、生き方を探し始めた人たちがね。ただ、そうした人たちが心配しているのが、もしTPPが批准されたら、家庭菜園のような小規模農家はどうなるんだろう、ということです。実際、アメリカでも家庭菜園禁止法がすんでのところで可決されそうになりましたよね。これまでは、政治運動には関わらず――農業って忙しいですし、田んぼを着々とやったりしていたほうがいいと思っていた人たちも、これは政治的にも止めなければ、TPPが批准されてしまったら、小規模農業ができなくなってしまうんじゃないかと危機感を抱いている。遺伝子組み換え食物が持ち込まれてしまったら、オーガニックの食物も影響を受けてしまうんではないか――そういう不安を抱いている人は少なくありません。

山田 このままではそうなってしまうでしょうね。農業の将来についてですが、たとえば今、ベトナムでコシヒカリを10万トン作っていて、それを5キロ50円で売っているんです。5キロ50円ですよ。それが日本に入ってきたら、日本の農業は太刀打ちできなくなる。しかも、向こうは三毛作なんです。20年も経てば、みんな稲作をやめてしまうでしょうし、消費者も安いほうを食べるようになってしまうでしょう。

BusinessJournal編集部

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