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トヨタ、揺らぐ業界盟主の座…技術競争で「ズレ」鮮明、強烈な危機感で歴史的転換

文=河村靖史/ジャーナリスト
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トヨタ、揺らぐ業界盟主の座…技術競争で「ズレ」鮮明、強烈な危機感で歴史的転換の画像1業務提携交渉を開始したトヨタ自動車・豊田章男社長(左)とスズキ・鈴木修会長(右)

「コネクテッドカー(インターネットに常時接続する自動車)や情報技術を中心に、技術開発競争はこれまでにないスピードで変化しており、自動運転などの先進的な将来技術を1社が個別で開発するには限界がある」(豊田章夫・トヨタ自動車社長)

 トヨタ自動車とスズキは10月12日、業務提携に向けて検討を開始すると発表した。独フォルクスワーゲン(VW)との泥沼の提携解消を経て、次の後ろ盾を模索していたスズキと、「仲間づくり」によって自動車業界の先導役を担いたいトヨタとの利害が一致した。両社が提携に踏み切る背景にあるのは、自動運転車など急速な技術進展による業界を取り巻く環境変化だ。

「良品廉価な車づくりでは、いずれ行き詰まるとの危機感を持っていた。その分野で協力してもらうことが大事だと思っている」(鈴木修・スズキ会長)

 スズキは長年、米ゼネラルモーターズ(GM)と提携してきたが、2008年に業績不振に陥ったGMがスズキの株式を売却して提携を解消した。その後、スズキは09年12月にVWと資本・業務提携を結んだ。

 販売しているモデルの大部分が小型車で、新興市場であるインドに強いという特長を持つスズキは、業界では中規模ながら、自動車メーカーの生き残りの鍵を握る電気自動車やハイブリッド車などの環境技術、自動運転に代表される先進運転支援システム技術は出遅れている。これら多額の投資がかさむ技術について、同社を活用する考えだったスズキは、GMとの提携解消によって次の相手としてVWを選択した。しかし、これが失敗する。

 VWはスズキが求める技術情報を提供しない上に、提携締結当初は「イコールパートナー」としていたスズキを子会社扱いした。これに激怒したスズキは、VWに提携解消を申し入れしたが応じられず、スズキは11年に国際仲裁裁判所に提携解消を求めて提訴した。

 結局、同裁判所はスズキの主張を認め、提携解消を命じたものの、裁定まで4年の年月を要した。VWとの提携解消決定を正式発表した記者会見で、今後のアライアンスについて聞かれた鈴木会長は「自立して生きていくことを前提に考えたい」と述べていた。

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