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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

激安なのに絶品の天丼「てんや」、「多能」店員と持ち帰り弁当に知られざる秘密!

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

激安なのに絶品の天丼「てんや」、「多能」店員と持ち帰り弁当に知られざる秘密!の画像3てんやの秋天丼

 もともと江戸文化の天丼は、海老や魚、野菜を使ったものが主流だが、街の飲食店の丼ではかつ丼よりも高く、もっとも値の張る存在だった。それを身近な存在に変えた店が、1989年に、かつて日本マクドナルドに勤めていた岩下善夫氏によって創業された天丼てんやだ。

 創業以来、天丼になじみの深い東京地区などで店を展開してきた。現在は福岡県発祥のロイヤルホールディングスのグループ会社だが、今でも首都圏中心の店舗展開だ。

 実は、用松氏はロイヤルグループを創業した江頭匡一氏(故人)からフードサービス業の真髄を学んだ。「飲食店の理想像を徹底追求し、私も含めて従業員はよく叱られていた」という創業者に、細部にまでこだわる姿勢を叩き込まれ、ロイヤルホストやシズラーなどの運営で実務経験を積み重ねて現職についた。その間には何度か降格人事も経験したという。てんやの取り組みにも、一連の経験で学んだ手法がうかがえる。

激安なのに絶品の天丼「てんや」、「多能」店員と持ち帰り弁当に知られざる秘密!の画像4てんやを運営するテン コーポレーション社長の用松靖弘氏

「家庭で揚げ物をしない」時代性も追い風に

 競合にはない、てんやの強みは、大きく「設備」と「人」に分かれる。設備でもっとも特徴的なのは、オートフライヤーと呼ぶ天ぷらの揚げ機器だ。天ぷら粉をまぶした食材を180度に設定した油の中に入れると、非常に短時間で揚げられる。どんな食材でも均等に揚げることができ、パートやアルバイトでも訓練すればできるようになる。

 食材はロイヤルグループで一括調達し、熟練職人を必要としないため、低価格で提供できるのだ。前述したように、もともと同グループの経営ではなかったが、江頭氏の経営哲学「憧れのものを手の届く価格で実現」を体現化している。

「人」の強みは、パートやアルバイトの“多能工化”だ。多能工は製造業の現場で複数業務をこなす人を指す言葉だが、てんや店舗には、ホールもキッチンも担当できる人が多い。

「フルセクションクルーと呼ぶ、両方できる人材は、4年前は十数%でしたが現在は50%を超えました。お客さまの流れを見て臨機応変に対応するのが特徴で、キッチンで調理をする人がホールで提供もできるので、スピードときめ細かな接客につながっています」(同)

 用松氏が就任後、変えたもののひとつに箸がある。現在使っているのは五角形の箸だ。

「丼を食べる楽しさは、ご飯をかきこむことにもあると思います。従来使っていた箸は、時にご飯粒が落ちることもあった。楽しくかきこめるよう、五角形に変えたのです」(同)

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