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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べれば良いのか」

平均給与は年63万円…地獄の食品製造業界、横流しや偽装多発の根底に「儲からなさ」

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト
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 しかも5.0以上の4回は69年度(5.1)、70年度(5・0)と、73年度(5.1)、74年度(5.2)、4.0以上も68~77年度(3.8の75年度を除く)と、68~77年度までのほぼ10年間に限られる。

 つまり、戦後の高度経済成長後期に属す、いわゆる「いざなぎ景気」(65年11月~70年7月)に半分かかり、かつ73年のオイルショックをはさみ、その余波が続いた時期だ。なお、特に68~74年度までの7年間、製造業全体の平均で営業利益率は8.0~5.9と極めて高かった。

 この間の食品製造の高い営業利益率を支えたのは、高度経済成長による食品需要の増大だ。特に食肉加工や乳製品など食の西洋化を軸に、日本は食の大変革を遂げた。60年に米の収穫量史上最高を記録したが、前後して58年にはインスタントラーメンが登場。60年代初めに日本でもインスタントコーヒーが国産化。60年代半ばに冷凍食品が広がり、同末にはレトルトカレーが販売された。

 そして、70年代からはファミリーレストランやファストフードが展開されるなど、食の簡便化、外部化も進んだ。この食の大変革を支えたのが食品製造のイノベーション(技術革新)であり、その見返りとして、食品製造は高い営業利益率を確保した。

 しかし、79 年度以降、営業利益率は1.9~3.6と低位安定化し、食品製造業は縁の下の力持ち的役割から脱却できていない。

 では、なぜ食品製造業は儲からないのか。その原因について次回みていきたい。
(文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト)

※後編に続く

【編注1】3人逮捕のうち、残りの2人は製麺業「みのりフーズ」(岐阜県羽島市)の元実質的経営者・岡田正男容疑者(78)と、卸業者「ジャパン総研」(名古屋市)の元従業員・木村正敏容疑者(76)。3人再逮捕では、「みのりフーズ」の岡田容疑者と「ジャパン総研」の木村容疑者は詐欺ほう助罪容疑。

【編注2】人口約1億2700万人=総務省統計局。2016年10月1日現在、総人口の概算値。

【編注3】「農業・食料関連産業の国内生産額」=『平成25(2013)年度農業・食料関連産業の経済計算』農林水産省大臣官房統計部「農林水産統計」平成28(2016)年3月25日。なお、国内生産額とは、生産された財及びサービスを生産者が出荷した時点の〈生産者価格〉で評価したもの。

【編注4】「工業統計調査」=『1.産業別統計表(産業細分類別)(1)、従業者4人以上の事業所に関する統計表』「2014年工業統計表(概要版)データ」経済産業省、2016年1月29日掲載。

【編注5】『食料品製造業の事業所数(2013年)(都道府県別)』総務省「第65回日本統計年鑑」2016年。

【編注6】『(1)産業小分類別、経営組織別、資本金階層別、従業者規模別の企業数』[1企業に関する統計表]2014年工業統計表「企業統計編」経済産業省、2016年8月5 日公表。

【編注7】現金給与総額=1年間(1~12月)に、常用労働者のうち雇用者(「正社員、正職員など」及び「パート・アルバイトなど」)に対して支給された基本給、諸手当及び期末賞与、退職金や解雇予告手当、出向・派遣受入者への支払額、臨時雇用者への給与などの合計。

【編注8】会計のプロたちが「収益力の指標として売上高営業利益率を採用するのは、これが様々な会計操作の影響をもっとも受けにくく、他の候補に比べて事業収益を忠実に表現するからである」(「日本の製造業―長期データに基づく収益力の再検証―」日本政策投資銀行 設備投資研究所 Time Based Management研究会 三品和広ら、p1)と指摘している。

【編注9】「営業利益率は5%が適正水準」 =「売上、利益とも厳しく-食品メーカー3月期中間決算」食品産業新聞、2014年11 月25日付

【編注10】『5.業種別財務営業比率表』財務省「法人企業統計」

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