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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

GDP等の経済統計に重大な欠陥…実態と乖離、情報不足や公表の遅さが経済活動の障害に

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト
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 さらに、実質GDP成長率の四半期ごとの変動のブレを小さくすることにもつながる。法人企業統計と並んで需要側統計の代表格である家計調査が成長率のブレの一因になっているとの意見が、民間エコノミストのなかに強くある。このように、供給側統計中心の推計に一本化することは早急な対応が求められる。さらに、需要側推計値と供給側推計値の早期公表も望まれる。

経済主体の意思決定の質を低下させる

 このほか、1次統計で圧倒的に不十分な分野に、海外関連の統計がある。グローバル化による国際的な工程間分業であるオフショアリングやサービス部門の国際的なアウトソーシングの動向を把握するための情報は極めて乏しい。海外に進出した企業の活動や、対外取引に関する決済通貨の実態、M&Aの動きなどの統計整備が求められる。

 さらには、速報性の向上がある。我が国の統計は他の先進国、特に米国等と比べて全般的に調査結果の公表が遅く、公表までに時間がかかるとの批判が多くある。こうしたことは、企業の経営判断や政府の迅速な経済情勢の把握を妨げ、適切な政策運営の障害となる。特に、景気関連統計には速報性が求められるものが多いことからすれば、集計の迅速化や作成方法の改善等によってできる限り公表を前倒しする必要がある。

 結局、経済社会の急速な構造変化が進むなか、既存の統計手法が変化に適切に対応しきれず、統計と経済実態とのズレが顕著となっているが、こうした変化への対応の遅れは経済主体の意思決定の質を低下させる恐れがある。従って、統計が経済社会の変化を的確に反映した情報を提供するよう不断の見直しが求められる。

統計行政の機能不全

 また、各種統計が多数の省庁により実施されているため、統計の整合性や利便性の面で問題が生じるケースも多く、経済統計の一元化管理を進める必要がある。併せて、政府の有する統計情報の公開をいっそう推進し、透明性を高めていくことも重要だろう。

 なお、経済統計の改善を図っていく上では、個別の問題点の対応だけでなく、統計作成にあたる組織や予算面を含めた統計行政の抜本的見直しが必要となるだろう。主要な経済統計については、企画・立案面でも可能な限り集中化することが合理的と考えられる。そして、経済統計の企画・立案が集中化されれば、多くの省庁にまたがる所轄業種の垣根にとらわれない横断的・整合的な統計整備が可能となり、統計調査の重複排除にもつながる。

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