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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

日本で売上激減のあの伝統品、なぜ海外でバカ売れ?小さな一金属企業、なぜ海外市場開拓驀進中?

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授

雨どいの海外販売における課題

 それでは、好調に推移している雨どいの海外販売における課題とは、どのようなものであろうか。

 まずは流通の問題が挙げられる。商品がニッチであるため、リアルでの流通経路の構築が難しく、現在は主として自社HPで販売している。喫緊の課題は、自社HPの検索サイトでのランキングを上位にあげることである。

 また、アマゾン楽天市場などのサイトで販売することも選択肢としては考えられるが、手数料が発生するという問題に加え、価格のみで他社の製品と比較される場合が多いため、こうしたサイトにおいて、海外からの製品に勝つことは難しいかもしれない。そのため、単に商品を掲載するだけではなく、高い理由をしっかりと顧客に理解してもらえる取り組みが重要となる。

 その一方で、他社製品を含めた顧客ニーズの収集など、マーケティングリサーチ的な意味合いを含めて、アマゾンなどで販売してみるのは面白い取り組みかもしれないと前向きにとらえている面もうかがえた。

 また、商品のPRに関しては、商品の特性や企業規模からしても、マス・メディアを活用した広告を展開することは得策ではない。よって、展示会への出展に積極的に取り組んでいる。展示会への出店の効果は大きく、流通業者や工務店へのPR はもちろんのこと、建築士への影響も大きく、高い関心を得て設計図などにスペックインされるケースが目立っている。近年では、大手ハウスメーカーの設計が多様化してきており、高級モデルの住宅に採用するなど、問い合わせも多くなってきている。

 こうした状況を踏まえ、将来は海外の展示会にも出展していきたい意向はあるものの、1回の出展だけでは単なる打ち上げ花火に終わってしまい、大きな効果が期待できない。そこで2回、3回と継続的に出展していきたいものの、たとえば1回の出展に300万円かかるとすると、3回で約1000万円と、中小企業が取り組む宣伝広告費としては負担が大きいことも事実だ。

 こうしたことを考慮すると、まずインターネット販売で安定した売り上げを確保し、その後、海外を含めた展示会への出展、さらにはリアル流通網の整備などといったイメージが描かれている。
(文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授)

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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