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寺門和夫「常識としての科学の話」

日本の科学研究、知られざる深刻な地盤沈下の実態…論文の被引用数の圧倒的少なさ

文=寺門和夫/科学ジャーナリスト、日本宇宙フォーラム主任研究員

 買収や合併によって、他企業の一部門として成長をとげる例も多い。最近アステラス製薬が買収したオカタ・セラピューティクス社(2014年にアドバンスド・セル・テクノロジー社が社名変更)は1994年にクローン技術を背景に設立され、再生医療の分野で先端的な研究開発をしてきた。

 米国では、生命科学分野のベンチャーは「魔の川」と「死の谷」を飛び越えたところからスタートしており、「ダーウィンの海」の生態系で生き残るには既存の企業も重要な役割を果たす。グーグルやアマゾンといった企業が、まるでブラックホールのようにベンチャーをのみこんでいくIT業界とは、また別の力が働いている。

 こうした生態系は、躍進いちじるしい生命科学分野だからこそ成り立つのかもしれないが、根底にあるのは未来に対する確信であろう。この点は日本も見習う必要がある。どうすれば研究者や企業が明るい未来を描けるようになるか。これが閉塞した日本における科学研究の課題である。
(文=寺門和夫/科学ジャーナリスト、日本宇宙フォーラム主任研究員)

寺門和夫/科学ジャーナリスト、日本宇宙フォーラム主任研究員

寺門和夫/科学ジャーナリスト、日本宇宙フォーラム主任研究員

20年以上にわたって科学雑誌『ニュートン』の編集責任者をつとめたほか、多数の科学書籍の出版にも携わった。国内および海外の研究者に幅広いネットワークをもつ。現在は科学ジャーナリストやTVコメンテーターとして活動中。一般財団法人日本宇宙フォーラム主任研究員として世界の宇宙計画の調査研究も行っている。主な著書に『中国、「宇宙強国」への野望』『ファイナル・フロンティア』『銀河鉄道の夜フィールド・ノート』(共に青土社)、『宇宙から見た雨』(毎日新聞社)、『まるわかり太陽系ガイドブック』(ウェッジ)など。

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