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ツタヤ図書館、鮮度重要な実用書を中古本で大量購入…市が重視の郷土本新刊はわずか5%

文=日向咲嗣/ジャーナリスト

 3月21日に、全国で3番目となる「ツタヤ図書館」として、宮城県多賀城市にリニューアルオープンした多賀城市立図書館。当サイトでは5月以降、同館が大量の中古本を購入している異様な選書実態を報じてきたが、新刊購入においても問題が次々と発覚している。

 今回は、そもそも多賀城市から図書館の管理を委託されたカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、どのような意図のもとに選書して、図書を購入しようとしていたのかを詳しくみていきたい。

 下の図は、2015年度中に多賀城市立図書館が今年3月のリニューアルオープンに向けて選書した追加蔵書の新刊部分を、ジャンル別に分類したものである。

ツタヤ図書館、鮮度重要な実用書を中古本で大量購入…市が重視の郷土本新刊はわずか5%の画像2

 新刊で最も多く選書しているのは意外にも「人文」で、トータル2414冊。新刊書籍選書合計1万9250冊のうち12.5%を占める。ちなみに、ここでいう「人文」とは、CCC独自の「ライフスタイル分類」による分類に基づき、思想、哲学、宗教、民族学などの文科系の学術的な分野を含む。

 第2位が「児童書」の2360冊(12.3%)、第3位が「アート」で2332冊(12.1%)と続く。この3ジャンルだけで全体の4割近くを占めている。

 本連載過去記事で詳しく紹介しているが、CCCが選書した中古本では「料理」「美容・健康」「旅行」がトップ3で、生活・実用書ジャンルの書籍が圧倒的に多かった。それと比べると新刊分は、一般的な図書館の蔵書に近い。

 しかし、「経済」62冊、「産業」65冊、「法律」69冊と、実務書がいずれも極端に少なく、やはり偏った選書となっていることがわかる。

新刊本、中古本購入の不可解な実態

 また、新刊の選書リスト全体像から、「人文」「児童書」「アート」こそ、中古で購入すべきではないかという意見もある。なぜなら、これらのジャンルは生活・実用書ほど頻繁に内容が変遷しない。「児童書」も、一度刊行されたら大きな改訂がないまま5年、10年と同じ内容の本が流通していることも珍しくない。

 多賀城市教育委員会は、「限られた予算の中でより多くの資料を整備することから、(略)中古本による購入も含めて整備する」という選定基準を示している(「多賀城市立図書館資料購入(移転準備作業)選定方針」)。その方針に沿えば、「人文」「アート」「児童書」を中古で安く買うことができたのではないかとの見方は、至極もっともだ。

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