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木村隆志「現代放送のミカタ」

なぜ不況の出版業界モノの連ドラ量産?『校閲ガール』に隠されたヒットの法則

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
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 また、出版社や作家・漫画家も、「実写化されれば原作が売れる」というメリットに加えて、「自分たちのいる世界がドラマ化される」という喜びも大きい。そのため、キャスティングのアドバイスやアレンジの受け入れなどの協力と理解を惜しまないのだ。

 最高レベルのリアリティに、出版社の協力と理解。この両面で、出版業界を扱った小説や漫画は、テレビ局にとって「ドラマ化しがいのある素材」ということになっている。

出版業界とテレビ業界の強烈なシンパシー

 もちろん、テレビ局の人々はドラマ制作のプロとして、それなりの勝算を踏まえて実写化に臨んでいる。

 冒頭に挙げた7作品は、いずれも女性が主役。出版業界は「残業や深夜勤は当たり前」の激務で知られるだけに、ヒロインが奮闘するシーンを描きやすく、視聴者はおのずと応援モードになっていく。

 つまり、出版業界は「若手女優がひたむきにがんばる姿を見せる」には最適な舞台ということ。現在の連ドラ界は、女性視聴者の共感をつかむために女優主演の作品が多く、その点で時流に合っているのだ。

 また、出版業界が舞台の作品は、「仕事内容や立場の異なる多くの人々を描きやすい」というメリットもある。たとえば、『重版出来!』では、本づくりの中心を担う編集者だけでなく、営業マン、印刷会社、書店員、作家、デザイナーなど、さまざまな人々の奮闘や苦悩が描かれていた。

「たった1冊の本に多くの人々がかかわる」出版業界が舞台の作品は、同一部署の上下関係だけでなく、他部署や取引先とのやり取りにバリエーションが生まれやすい。主人公の活躍を描くだけでなく、毎回異なる人との「衝突を経てのチームワーク」「トラブルを経ての達成感」がドラマチックに描かれるため、連ドラとしての見応えがあるのだ。

 その中には『校閲ガール』のような「縁の下の力持ち」の職種も多く登場するため、視聴者が「登場人物の誰かに自分を当てはめやすい」という側面もある。もっとも、「花形」といわれる編集者ですら裏方にすぎないのだから、出版業界全体が裏方の仕事といえるだろう。「派手なように見えて地味」である分、視聴者から反感を持たれにくいのだ。

 その意味では、テレビ関係者たちも同じ裏方であり、似た立場で作品を生み出し続ける出版業界へのシンパシーは強い。また、ともに歴史の長い業界であり、「かつては栄華を極めていたが、最近は苦境に陥っている」という点も似ている。ひいては、そんな両業界の置かれた立場が、不況が長引き閉塞感が漂う社会全体と重なり、視聴者は感情移入しやすいのかもしれない。

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