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高橋篤史「経済禁忌録」

あの元楽天副社長、いわく付き企業社長として窮地&孤軍奮闘…反社勢力の詐欺を回避

文=高橋篤史/ジャーナリスト
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 が、いざ取締役会を開くと、他の役員から慎重意見が出された。採石権の担保価値が疑問視されたのである。すると後日、伍稜総建は担保価値の評価を行うため大手ゼネコンの社員を連れてきた。が、なぜかその社員は名刺を2枚しか持っていない。よくよく調べると、その名刺自体が偽物だった。そのため不審に思ったリミックスポイントは融資話から降り、前述の根抵当権設定登記も2月23日付で抹消登記した。結局、2億円の融資は実行しなかったのである。

 それから9カ月後。伍稜総建の代表取締役らは逮捕されることとなる。しかも反社会的勢力だった疑いまで浮上する始末だ。

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 そもそも問題の砂利採取場は複雑な歴史を持つ。もともと土地を所有していたのは福島県知事をめぐる汚職事件で有名になった水谷建設。同社が2011年に事実上倒産すると、資産処分の過程で13年に東京都内のパチンコ業者に売却された。それと同時に愛知県瀬戸市の不動産会社が採石権を設定している。伍稜総建はその不動産会社から権利を買い取ったとして移転登記を行っていたが、その関連書類が偽造だったわけだ。

 のちにわかったことだが、公認会計士出身の人物はM&A(合併・買収)を繰り返してはカネをどこかに溶かしてしまう怪しげなグループにかつて連なっていた。三井住友銀行から巨額の融資を引き出したという前述の話は旅行会社「ホリデー」の買収をめぐるもので、その中心にいた経営コンサルタントは08年10月に脱税事件で東京地検特捜部に逮捕され、実刑判決を受けている。

 また、グループの他のメンバー2人もジャスダックに上場していた富士バイオメディックス(08年10月に事実上倒産)に入り込み、粉飾決算を指南していたとして11年に東京地検特捜部により逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けている。

 リミックスポイントという会社自体、怪しげな話を引き寄せる負の歴史があるともいえる。業務用アプリケーションソフトを手がけていた同社は創業からわずか2年の06年に上場した。しかしその後は業績の低迷が続いた。09年に第三者割当増資を実施するが、翌年にとんでもない事態が起き、経営混迷に拍車がかかった。増資割当先がローソン子会社をめぐる巨額の資金流用に関係していたことが判明したのである。

高橋篤史/ジャーナリスト

高橋篤史/ジャーナリスト

1968年生まれ。日刊工業新聞社、東洋経済新報社を経て2009年からフリーランスのジャーナリスト。著書に、新潮ドキュメント賞候補となった『凋落 木村剛と大島健伸』(東洋経済新報社)や『創価学会秘史』(講談社)などがある。

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