世界最大の自動車市場である中国では、環境対応車の購入に高額な補助金が支給されているものの、対象は「新エネルギー車」と呼ばれるEVとPHVだ。中国では今後、自動車の環境規制が強化される見通しで、カリフォルニア州のZEV規制と同様、自動車メーカーにEVの一定の販売比率を義務づけることが検討されている。さらに、大気汚染問題が深刻なインドでも環境規制が強化される見通しだ。

 EVは1回フル充電当たりの航続距離が短いことと、充電インフラが整っていないこと、さらに価格が高いことが普及に向けてのハードルとなっていた。しかし、技術開発が急速に進み、1回充電当たりの航続距離の長いEVの実用化にメドがつき始めているほか、充電インフラの整備も進んできた。地球温暖化による気候変動が深刻化するなかで、走行中の二酸化炭素排出量がゼロのEVが、環境自動車の本命との見方が主流となっている。

逃したチャンス

 環境規制がもっとも厳しい欧州の自動車メーカーは、規制をクリアするため、EVの開発を強化している。独フォルクスワーゲン(VW)は、ディーゼル車の排ガス不正問題を機に、環境対応車の軸足を、従来のクリーン・ディーゼル車からEVに転換。2025年までに30車種を投入し、生産台数全体の25%に当たる300万台を生産する計画を打ち出している。

 BMWもミニやSUVの「X3」のEVを投入する計画。ダイムラーはEVの新ブランド「EQ」を立ち上げ、19年からEVを10モデル投入する予定だ。このほか、米ゼネラルモーターズ(GM)も航続距離の長いEVを投入する計画。グローバルな自動車メーカーが相次いでEVの開発に注力している。

トヨタは、環境対応車戦略を短期間で軌道修正する最大のチャンスを、日産にかっさらわれた」(自動車担当記者)

 HVを柱に据えてきたことで環境車競争で取り残された格好になったトヨタだが、一気に巻き返すチャンスはあった。それは、三菱自動車工業の燃費不正問題発覚だった。

 日産は10月20日、三菱自の株式34%を取得して資本・業務提携した。三菱自の会長職兼務を決めた日産のカルロス・ゴーン社長兼CEO(最高経営責任者)は、「三菱自のPHVの技術はアライアンスに良いシナジー効果がある。日産とルノーは三菱自の技術をベースに開発ができる。三菱自、日産、ルノーそれぞれが開発・生産の投資を抑制できるほか、短期間で商品の市場投入も実現できる」と、環境技術でのシナジー効果に期待する。

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