また、本土の都市部のように交通インフラが整備されていないため、沖縄では車が必需品となる。車を所有すれば駐車場代やガソリン代など固定の維持費がかかり、車そのものも輸送コストを考えると本土より割高になるケースが多い。

 さらに、海沿いの地域では塩害の問題もある。エアコンの室外機や給湯器など、屋外に設置する設備機器は割高な塩害対策製品を購入しなければならないのだ。「低賃金でも、ぜいたくしなければ暮らしていけるだろう」と甘く考える人が多いが、実際の生活は想像以上に苦しくなることが予想される。

移住者と地元住民の間でトラブルも

 それに加えて、一筋縄ではいかないのが地元住民との人間関係だ。

「戦後の復興とともに本土の人たちが沖縄でビジネスを始めたのですが、地元住民をだまして土地を奪うなどのトラブルが多く発生しました。また、昔は東京の店などで『沖縄の人はお断り』といった差別的な扱いもあったため、地元住民のなかには本土の人を嫌っている人もいます」(阿部氏)

 このため、地元住民のなかには、本土の人に部屋を貸さないアパートのオーナーや就職の面接を断る経営者など、露骨に嫌悪感を表す人も少なからず存在するという。もちろん、そんな人ばかりではないが、歴史的な経緯や文化の違いから、移住者と地元住民の間でトラブルになることもあるようだ。

 自然に囲まれてスローライフを満喫するどころか、生活苦に陥った上に人間関係のストレスに悩まされることにもなりかねない。

移住者の9割は、近くに美しい海がある生活に憧れて沖縄に移住しますが、だいたい半年ほどで海に近づかなくなります。どれだけ魅力を感じていたとしても、3年もたてば見慣れてしまい、飽きてしまう人がほとんどです」(同)

 もちろん、地方移住の対象は沖縄だけではないが、人気が高い一方で負の側面も存在することは覚えておいたほうがよさそうだ。
(文=鉾木雄哉/清談社)

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