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出光創業家代理人・浜田卓二郎氏インタビュー(前編)

出光、合併頓挫の全真相…「大株主に事前説明なく、おかしな話」「合併で楽、は錯覚」

構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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――特定の株主だけに事前に合併の話をすることは、インサイダー取引規制に関する法律に抵触する心配はないのでしょうか。

浜田 株を売り買いしたら別ですが、なんの売り買いもしていない。資本主義の論理では、34%株を持っている人が会社法上、合併に必要な特別決議を否決できます。それを無視してなくても軽んじたかたちで確認もしないで、合併の手続きを進めるというのは、これは基本的におかしな話です。会社側は「他の株主との関係もありますから」と言って、きちんと了解を得ようとはしない。「じゃあ、大株主というのはなんなのか」「会社の所有というのはどういう意味合いがあるのか」という話になってしまうわけです。「昭介氏が横車を押した」「ワガママを言った」という話ではありません。

 厳密にいうと、33.92%、約34%の株を持っていて、特別決議を否決できる立場にある株主としては、今回の昭介氏の行動は株主としての一種の責任なのです。経営のあり方に対して、しょっちゅううるさく注文をつけているというわけではなくて、合併という基本的に企業のあり方を変えるという判断については、株主としての責任を果たす。そんなときには大株主は「物言う株主」にならなければならないと思います。

自分の経営を見直すべき

――石油業界はますます厳しくなり、国内でのガソリンの需要は今後大幅に減少していくといわれています。業界再編の必要性については、どのようにお考えでしょうか。

浜田 たしかに、ガソリンなどの需要が減ってくることは間違いないと思います。しかし、それに合わせて企業の数を減らしていくという再編成で成功した例はありません。JXホールディングスと東燃ゼネラルは8月、経営統合することで合意しましたが、途端にマスコミの扱い方は「これから苦しみが始まる」といった論調に変わっている。合併が唯一の解決策だと考えることは問題だと私は思っています。それは「つらいから数を減らす。そうすると楽になるだろう」という一種の錯覚です。

――ではなぜ、合併すると厳しくなるのでしょうか。

浜田 合併の効果を上げるためには、たとえば、競合している給油所を統廃合しなければならないからです。そうしたら解雇という問題も出るし、製油所だって潰れる。前回はそういう理由で買収話が潰れたのだろうと推測しています。愛知県駿河湾を挟んで目と鼻の先の対岸に、出光昭和シェルの製油所があるのです。合併したらどちらかを潰す。そういうことをしなければ、合併効果なんて出てきません。「合併すりゃ、楽になるだろう」というのは錯覚なので、そんなところに大きなエネルギーや時間を使うよりも、今は石油危機の時ですから、それと正面から向き合い、まず自分の経営を見直すべきなのではないでしょうか。

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