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「売春防止法」とは
清水弁護士は、今回の容疑が売春防止法違反であることに注目する。
「風営法違反は割と簡単に摘発しやすいので、警察は同法での摘発を狙うことが多いのが現状です。売春は立件が難しいので、今回あえて売春防止法違反容疑での摘発に動いたということは、行為とお金のやり取りの両方について押さえていると考えられます。つまり、警察がなんらかの証拠を得たか、もしくは店で働く女性が警察に情報を持ち込んだ可能性もあります」
ここで、売春防止法がどんな法律なのか、簡単に紹介しておく。
売春防止法が成立したのは1956年。終戦後の混乱から日本が抜け出し、高度経済成長期が始まったころだ。
売春防止法では、売春をすることと、売春の相手方となることについては、禁止はされているものの罰則は設けられていない。つまり、売春の当事者たちは処罰されない。
この法律で刑罰を科されるのは、「売春の勧誘や周旋をする行為」と「売春をさせるための契約をする行為」である。
前者でいえば、人を騙して売春させたり、暴行・脅迫を用いたりして売春を行わせた場合も処罰される。後者でいえば、事情を知りながら売春の場所を提供すること(場所提供罪)、自己の占有・管理する場所または自分の指定する場所に人を居住させ、その人に売春させること(管理売春罪)も処罰される。今回2店が摘発されたのは、場所提供の容疑だ。
(文=横山渉/ジャーナリスト)