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マクドナルドの都市伝説は本当?岩井志麻子が真相を本社で直撃!

構成=小野貴史/経済ジャーナリスト 撮影=山本宏樹/deltaphoto
マクドナルドの都市伝説は本当?岩井志麻子が真相を本社で直撃!の画像1日本マクドナルドの小山郁氏(左)と作家の岩井志麻子氏(右)

 品質に関する問題で、一時的に客足が遠のいたとされる日本マクドナルド。また、マクドナルドといえば、数々の都市伝説がまことしやかにささやかれており、消費者にとっては気になるところだ。

 そこで、歯に衣着せぬ発言で人気の作家・岩井志麻子氏が、その安全性や味の秘密から真偽不明な噂まで、マクドナルドを直撃。同社の小山郁氏(サプライチェーン本部クオリティアシュアランス部統括マネージャー)と蟹谷賢次氏(コミュニケーション本部PR部部長)に真正面から切り込んだ。

海外でマックを見るとホッとする?

岩井志麻子氏(以下、岩井) 私は世界中に行っているわけではありませんが、アジア各国にチョロチョロ行くと、必ずマクドナルドがあるじゃないですか。そうすると、ホッとしますよね。外国でマクドナルドを見ると、日本料理店のような気がしますものね。

小山郁氏(以下、小山) そうですね。

岩井 マクドナルドなら怖い店員さんもいませんし、ボラれることもないですわ。「ハンバーガー、1個100ドルです」とかね。

蟹谷賢次氏(以下、蟹谷) 小山 (ともに笑)

岩井 私はそんなに好き嫌いはないほうですが、現地の食べ物が合わなかったり具合が悪くなったりした時に、マクドナルドがあると「食べたことがある」という点で安心します。あと、マクドナルドの味って一定ですから。「あそこの店はすごくまずい」というのがないじゃないですか。すべての店の品質や味を同じにするというのは、大変なことですわね。「全部同じ、いつも同じ」というのはなんてありがたいことか、と思いますね。

蟹谷 それだけ日本のみなさまに親しんでいただいているというのは、私たちにとっては大変光栄なことです。

岩井 若い人って、みんなマクドナルドが好きじゃないですか。私の夫は若い韓国人ですが、夜、私が寝ている時にマクドナルドに行っていますよ。自宅からは大久保が近いのに、韓国料理店じゃないんだなぁと。マクドナルドに都市伝説が存在するのは、それだけメジャーな存在だからですよね。有名じゃないと、都市伝説も生まれませんわね。

小山 私は今40歳ですが、小学生の時にはマクドナルドにまつわる都市伝説はありましたね。

蟹谷 1970年代から店舗数がどんどん増え始めたのですが、その頃から出てきたような気がしますね。

岩井 その頃から、「食の安全」が意識され始めたからじゃないですかね。私が子供の頃なんて、加工物や添加物についてうるさくいう人なんかいなかったですよ。漬物にドバドバ化学調味料をかけていたし。

 グレープジュースを飲むと、本当に舌が紫色になったんですよね。でも、それを面白がって見せたりして。「こんなになったぁ!」って。それについて「危険である」とか「何を使っているんだろう? この会社は」とかいう人、まわりに1人もいなかったですね。子供にも、着色料だらけのおやつを普通に与えていましたし。

 だから、変な都市伝説がささやかれるようになったのは、「有機栽培じゃないとダメ」とか、みんなが食に対して安全を意識するようになった頃からですね。それに、マクドナルドはターゲットにしやすいですもんね。ものすごく有名で、アメリカが発祥の地で……「悪口をいってもいい」とか「変な噂を流してもいい」となるのは、その相手が巨大な場合ですよね。まるで正義の味方になったような気になりますもんね、大きいところを叩くっていうのは。

「腐らない」「ミミズバーガー」は本当?

蟹谷 時代とともに、お客様の食の安全に対する意識が高まってきたというのは、岩井先生がおっしゃる通りですね。お客様の声に対して、私たちもきちんと情報発信をしなければお客様からの信頼をいただけない。今は、そのような時代になっていると考えています。

岩井 もちろん食の安全は大事なことですが、「ナチュラル志向」とか「スローフード」といっても、マクドナルドは絶対になくならないというか……だって、単純においしいんですから。麦飯よりもマクドナルドですよ(笑)。

小山 蟹谷(笑)

岩井 「健康のために、毎日麦飯に菜っ葉を食べろ」といわれても、健康で長生きできるかもしれないけど、それはつらいわ。私の両親は80歳近いんですが、1日でも長生きしてもらうために、おいしいものを我慢させて麦飯と菜っ葉だけを与えるのはかわいそうで、できんですわ。それで何かいわれても、「おいしい」っていえるものを食べさせてあげたい。

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小山 食事には、バランスが大切だと思います。「3大栄養素」や「5大栄養素」といわれますが、バランスよく栄養を摂ることが大切ですね。好きなものだけを食べていると、栄養が偏ってしまいます。ところで、先ほどの都市伝説で有名なものに「マクドナルドのハンバーガーは腐らない」というのがありますが、ほかにご存じのものはありますか?

岩井 「ハンバーグはミミズの肉でつくっている」というものがありますが、いや、岡山県民をだませんぞって(岩井氏は岡山県和気郡の出身)。「じゃあ、そのミミズの原産地はどこなんだ?」って。ミミズを集めるほうが大変で、牛肉でつくったほうが簡単に決まってるでしょうが!

小山 蟹谷(笑)

岩井 本当かどうかわかりませんが、中華料理に蚊の目玉だけを集めた料理があるらしいのですが、ミミズのハンバーグがあるなら、それに匹敵するじゃないですか! 蚊の目玉だけの料理って、ひと皿いくらするんだって。

小山 「ハンバーガーは本当に腐らないの?」といわれることがありますが、もちろん、食品ですから条件がそろえば腐ります。

岩井 そりゃ、どんな食品だって条件によりますわね。夏か冬か、どんなところに置いておくかで変わってきますわ。

小山 「腐らないように添加物を大量に入れているんじゃないか」といわれることがありますが、そんなことはありません。普通の食品ですから、当然、条件によってカビが生えたり腐ったりします。

 例えば、ハンバーガーで使用するビーフパティは、原材料にビーフしか使用しておりません。そのため、品質を維持するために、製造工場での衛生管理はもちろんのこと、製造工場から店舗で調理するまで、徹底した温度管理を行っております。マクドナルドでは一部の原材料に保存料を使用しているものもございますが、国で定められている基準の中で、かつ必要最小限の量の使用に抑えております。ほかには、どんなものがありますか?

岩井 「マクドナルドを食べると太る」といわれていますが、私が子供の頃は「太っている=家が金持ち=健康優良児」だったんですよ。「やせたい」なんていう人はいなかったですもん。だって、みんなやせてるんだから、岡山の農村では。肥満は富の象徴だったし、「太っている」というだけで健康優良児として学校から表彰されたりしたんですから。

 あの頃は、「それを食べたら太る」なんてことをいう人はいなかったわけだし、太ることが問題にされたのはスタイルを気にするようになった頃からで、70年代からと思いますね。

みんな知らない、ポテトの意外なつくり方

――健康との関係については、「マクドナルドのフライドポテトには、トランス脂肪酸が多く含まれているのではないか」といわれています。実際は、どうなんでしょうか?

小山 トランス脂肪酸は大きく2種類あります。ひとつは、牛や羊などの反芻動物の脂肪に含まれる天然由来のトランス脂肪酸です。もうひとつは、植物油のような不飽和脂肪酸を多く含む油を200度以上に加熱して脱臭する加工工程で発生するトランス脂肪酸で、ショートニングやマーガリンなどの硬化油に含まれることが知られています。

 では、マクドナルドではどうかというと、マックフライポテトは、アメリカの加工工場で一度下揚げをして瞬間冷凍し、店舗で再度フライをして仕上げています。この下揚げをすることでカリッとしたでき上がりになります。店舗で使用する揚げ油は、牛脂とパーム油を混ぜた混合油を使用しているため、牛脂から天然由来のトランス脂肪酸が含まれています。

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 一方で、2007年に欧米でトランス脂肪酸の規制が始まったことを受けて、マクドナルドはグローバル基準で工場での硬化油の使用を止めてパーム油などに切り替えたことで、トランス脂肪酸を大幅に低減しました。これによって、トランス脂肪酸の含有量は以前の5分の1に減らすことができました。

 内閣府の食品安全委員会は07年にトランス脂肪酸に関するファクトシートを公表しており、その中でも日本人のトランス脂肪酸の摂取量は平均総エネルギー摂取量の0.3~0.6%であると見積もられており、アメリカの2.2%前後にくらべて相当少ないのです。食品安全委員会は、「通常の食事量なら健康への影響は少ない」という見解を出しています。

岩井 すごいな! マクドナルドさん、そこまでやってくださっているんだ……。そもそも、そこまで気にする人もいないと思うけど。私は純朴な岡山の人なので、「おいしいんだから、ええがな」と思っちゃいますわね。食べ物のおいしさって塩と油にある、と聞いたことがあるんですが、マクドナルドがおいしいのも、塩と油のバランスがいいんでしょうね。でも、塩と油は控えたほうがいいっていうイメージがありますわね。

小山 なんでもそうですが、過度な摂取は健康にマイナスであるといわれています。実は、マックフライポテトに含まれている食塩相当量は、Mサイズで0.6グラムとそれほど多くないんです。

岩井 スナック菓子なんかのほうが、塩分量は多いと思いますよ。

小山 それはわかりませんが……。そういう食塩相当量に限らず、カロリーやビタミンなどの栄養情報、原産地情報やアレルゲンの情報も、商品パッケージやトレイマットに記載されたQRコードなどからアクセスし、ご覧いただくことが可能です。

岩井 マクドナルドの商品って、家で再現しようと思っても絶対につくれませんよね。例えば、ポテトをまねしてつくろうとしても、難しいですものね。

小山 マックフライポテトはどのようにつくられているか、ご存じですか?

岩井 たぶん、マッシュ状にして型に合わせているのかな、と思ったんですけど。

小山 アメリカ産の大きなじゃがいもをまるごとカットして、揚げています。

岩井 じゃあ、マッシュポテトにはしていない?

小山 していません。マックフライポテトは1本1本長さが違って、長いものもあれば短いものもあります。カットする際に、じゃがいもの真ん中は長くて端は短くなります。

岩井 えー、知らなかったです。このことは、もっと伝えたほうがいいと思いますよ。みんな、私みたいに、いったんマッシュ状にして成形していると思っているでしょうから。

小山 そうですね。実は、弊社のホームページでいろいろなお客様からのご質問にお答えしていて、このマックフライポテトに関しても、まるごとカットしていることを伝えているんですよ。

世間の「マック叩き」、実は好都合?

――先ほど、食のバランスについて話が出ましたが、御社の社員は自社の商品をどのぐらいの頻度で食べているのでしょうか? 実は、あまり食べていないとか?

小山 我々、品質保証の社員は毎日のように食べています。ほかの部署の社員も、本社ビルのすぐ近くに店舗があるので、けっこうな頻度で食べています。

――健康診断で引っかかることはないのですか?

小山 それはありませんね(笑)。

岩井 マクドナルドの社員が一番広告に出るべきというか、社員の健康が商品の安全性を証明していますよね。

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――学校の栄養士の中には「ファストフードは子供の栄養にとってよくない」と主張する人もいますが、御社の場合はいかがですか? 社員のみなさんは、自分の子供に自社の商品を食べさせているのか、あるいは控えさせているのか……どうされていますか?

小山 それは、よくいわれることですね。うちには6歳と3歳の女の子がいますが、2人とも弊社の商品をよく食べています。上の子はバレエをやっているんですが、毎週、レッスンの後は近所の店舗でハッピーセットを食べています。チーズバーガーとマックフライポテトを毎週のように食べていますよ。品質保証を担当している私から見ても、子供に安心して食べさせられる商品です。そこには自信を持っています。

岩井 ところで、「居座るお客さん」って困るんですか? コーヒー1杯で昼から夜までいるような。

蟹谷 居座られて困るということはありませんし、「何時間まで」という制限も設けていません。ただ、お食事を目的に来店されるお客様もいらっしゃいますから、混雑して席が空いていない時に、長い時間いらっしゃる方に対してはご協力をお願いするケースはあります。

――若者に「マック離れ」があるという見方もありますが、実際にそうした傾向は見られるのですか?

小山 実感としては、あまりありません。ただ、幅広い世代のご期待にお応えするために、いろいろな施策に積極的に取り組んでいます。商品の名前をお客様から募集する施策では、2週間で約500万件の名前が集まりました。

――マクドナルドとしては、世間で叩かれたりいじられたりしていることについて、「実は話題になって好都合」という受け止め方はないのですか?

蟹谷 それは、できるだけ叩かれないほうがいいです(笑)。でも、そうはいっても、お客様の厳しい声は我々に対する期待値が高いからだ、ということを心に刻んで取り組んでいこうと思っています。厳しい声はご期待の裏返しで、それにお応えすることを、お客様も望んでいらっしゃると思います。

岩井志麻子、「文学界のマック」目指す?

――ネット上のネガティブな書き込みなどがなくなったりしたら、物足りなくなるということはないでしょうか? ある意味でマクドナルドの存在を認めているからこそ、叩くわけですからね。

蟹谷 物足りなくなるというのは……コメントが難しいですね。そうしたご意見に対してはお応えしていかなければなりませんし、またいろいろな情報を発信していかなければならないと思っています。

岩井 あんまりほめられると「ホントかよ?」という気になりますからね。私も、作品に対して批判があったほうが「ちゃんと読んでくれてるんだ」と。「面白かったですよ」とか「感動しましたよ」というのは適当にいえるけど、文句の場合は具体的に「あそこがどうの、こうの」といわれるから、「ちゃんと読んでくれてるんだね」って。テレビの発言も、叩かれたりすると「真面目に聞いてくれてるんだ」と。やっぱり、無視されるのが一番どうにもならんですわね。

 一部の味のわかる人にしかわからないような凝った料理も、それはそれで素晴らしいですが、こんなにみんなに支持される味をつくるというのは、それよりも難しいと思いますよ。私は物書きの端くれですが、どうにかして、死ぬまでに「文学界のマクドナルド」になりたいなと思っています。
(構成=小野貴史/経済ジャーナリスト 撮影=山本宏樹/deltaphoto

※本記事はPR記事です。

●岩井志麻子(いわい・しまこ)
1964年岡山県生まれ。1999年『ぼっけえ、きょうてえ』第6回日本ホラー小説大賞受賞。2000年『ぼっけえ、きょうてえ』第13回山本周五郎賞受賞。2002年『岡山女』第124回直木賞候補。『trai cay (チャイ・コイ)』第2回婦人公論文芸賞受賞。『自由戀愛』第9回島清恋愛文学賞受賞。高校在学中の1982年、第3回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少女小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が選考委員の絶賛を受けて、日本ホラー小説大賞を受賞。半生を赤裸々に語るトークや「エロくて変なオバチャン」を自称する強烈なキャラクターが注目を集める。

最新情報は「オメ☆コボシinfo(@omekoboshi_info)」まで

小野貴史/経済ジャーナリスト

小野貴史/経済ジャーナリスト

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表
著書「経営者5千人のインタビューでわかった成功する会社の新原則」

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