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ASKAタクシー映像流出で露呈…有名人の「情報の宝庫」タクシー運転手とマスコミの関係

文=後藤豊/フリーライター
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 また、運転手が車内で喫煙などの禁止行為をしていないか、といったことをチェックする機能も果たしている(車外を映すドラレコは基本的に事故関連に使われる)。

 つまり、ドラレコは本来、タクシー会社や運転手の立場を守るためのものであり、そうした事情に鑑みても、今回の件は一線を越えていると言わざるを得ない。会社によってはドラレコが全車に設置されていないため、運転手が自費で購入して身を守るために乗務のたびに設置するケースもある。今回の件が、会社ぐるみだったのか運転手の個人的な判断だったのかはわからないが、本来の目的外のために利用したことは確かだ。

映像流出させたタクシー運転手はクビ?

 また、この一件を「運転手がマスコミに協力した」と見ることもできる。タクシー運転手は日々多くの乗客と接しており、いわば「情報の宝庫」でもある。東京都内を走っていれば有名人を乗せることもあるし、その際の車内の様子などはマスコミにとっては格好のネタとなる。

 タクシー業界の中には、「代わりはいくらでもいる」とばかりに運転手を大切にしない会社もあり、さまざまな名目で運転手の賃金を下げることも珍しくない。11月21日付記事『タクシー運転手が悲惨すぎる!修理代やカード払い手数料は「自腹」、チップも会社に上納』でお伝えしたクレジットカード払いの際の“手数料自腹”などはその代表例だが、会社の待遇に不満を持つ運転手がマスコミと接触、「謝礼を出しますから」などと言われて協力するケースもあるだろう。

 ただ、繰り返しになるが、今回のケースがまずいのはタクシー会社や運転手の「身を守るため」に提供した映像ではないからだ。そのため、タクシー業界全体の信用性にかかわる行為であるとも感じる。どういった経緯で提供が行われたのか定かではないが、運転手および会社の認識が甘すぎたことは確かだろう。

 もし、仮に筆者が会社の許可を得ずにドラレコの映像をマスコミに渡して騒動になったとしたら、どうなるか。会社は「著しく迷惑をかけた」として、筆者を即刻クビにするだろう。
(文=後藤豊/フリーライター)

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