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江川紹子の「事件ウオッチ」第68回

【ASKA逮捕報道】で蔑ろにされた無罪推定の原則 メディアは自ら自分たちの首を絞めた

文=江川紹子/ジャーナリスト
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 今回のASKAさんの件についても、民放各社は逮捕直前の映像であることなどから、「公益性、公共性がある」としているが、裁判になったら、それが認められるかどうかは大いに疑問だ。

 ドライブレコーダーを含め、防犯カメラ映像は、事案ごとに公共性、公益性、そして当事者の人権などを勘案して取扱いを決めるもので、お上が一律に禁じるべきようなものではない。しかし今回の一件で、役所が通達を発することになり、報道機関の取材への影響も必至だ。人権に対する無配慮が取材の自由を狭めるという、自分で自分の首を絞めるような状況をつくってしまった。

 これを「マスコミの自業自得」と断ずるのはたやすいが、こうしたことはほかの情報発信の場でも起き得る。ツイッターなどのSNSや掲示板などで個人が発信する情報のなかには、明らかに事実に反するもの、プライバシーや肖像権の侵害、個人への名誉毀損や他民族への誹謗中傷などに類するものを見ることがある。そうした発信がきっかけで不幸な事態が起きれば、お上が乗り出して、自由な情報発信に規制をかけようという動きも出てこないとも限らない。

 情報発信をする者の自制と自覚が必要だ。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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