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片山修のずだぶくろトップインタビュー 第5回 斉藤惇氏(KKRジャパン会長)前編

経営危機だった日立と東芝、明暗の分かれ道…日立は再建で過去最高益、東芝は存亡の危機

構成=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
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片山 今、ソニーの平井さんは事業分社化で独立心を持たせたり、社内ベンチャーの育成に力を入れていますね。

斉藤 一生懸命やっていらっしゃると思います。それから、リーマンショック後の大赤字直後、日立製作所の執行役会長兼社長に就任して陣頭指揮を執った川村隆さんは、優れた経営者ですね。

片山 09年3月期、日立は7873億円という過去最悪の最終赤字を計上しました。川村さんは、大胆な事業の選択と集中などの施策を打ち、結果として、日立は15年3月期に過去最高益を更新するまでに復活しました。

斉藤 大赤字直後、川村さんは世界中を回ったけれど、どこも相手にしてくれず、銀行は日立に金を貸してくれなかった。これは、日立にとってものすごく大きなショックだったのです。結局、公募増資、転換社債型新株予約権付社債の発行で資金調達したわけですが、そのときにも、ビシビシ厳しい質問を浴びた。

 川村さんは、これらの経験から、市場のルールや厳しさを勉強したんですね。その点、東芝は同時期に日立と同じく厳しい状況にありながら、不正会計を使って主要銀行からお金を借りることができました。日立は、貸してもらえなかったのがよかったんですよ。もし銀行が貸していたら、日立は東芝と同じようなことになっていたかもしれない。

 川村さんの後任の中西宏明さん、東原敏昭さんらも、経営者として目が覚めていますね。厳しいところを経験した結果、悟って経営者になったんです。ほかにも、自ら社外取締役に厳しい人を招き入れて、変わる人もいる。

片山 つまり、経営者が育つには、いろいろなケースがあっていいんですね。

斉藤 そうです。ただし、経営者をいかに育てるかは別として、組織は、つねに変化しなければいけません。

片山 変化に対応できるかどうかが、企業の生き残りにかかわりますね。

斉藤 1分1秒単位で組織や時代が変化しているのに、何年、何十年という単位で対応しているような会社は、死んでいくしかありませんよ。

変わる、日本のコーポレートガバナンス

片山 斉藤さんは昨年、東京証券取引所のトップとしてコーポレートガバナンス・コードの導入を主導されました。日本企業に定着していくでしょうか。

斉藤 コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードは、導入したからといって、1年や2年でガラリと様変わりするものではないと思います。先行する欧米においても、試行錯誤を繰り返して定着してきています。

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