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片山修のずだぶくろトップインタビュー 第5回 斉藤惇氏(KKRジャパン会長)後編

エアビーやウーバーの台頭にまったく追いつけない日本…コストゼロで異常に高い生産性

構成=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

奇人・変人が必要

片山 同じことは、企業にもいえますね。既得権益に縛られない人が、技術にしろ、制度にしろ、とんでもないことを発想して変えていかないといけない。

斉藤 そうです。奇人・変人が必要です。奇人・変人は、会社に数人いればいいんですよ。みんな奇人・変人だと会社がおかしくなるからね。ただ、数人の奇人を認める会社にならないといけない。

片山 伸びる会社はそうですよね。ホンダだって、富士通だって、かつては奇人・変人がいたからあそこまでいった。

斉藤 アメリカを見ると、グーグルのラリー・ペイジ、アップルのスティーブ・ジョブズあたりが、世界中の人々のニーズがある商品を生み出していますよね。

 たとえばアップルの「iPhone」を見れば、利益の6割方を得ているのは、生産には携わらずに設計やデザインをしている米本社。日本と中国と韓国の企業は、せっせとモノを生産して、利益の残り4割を分け合っている。つまり、日中韓の企業は、米国企業の下請けになっているんです。

 かつての日本企業はそうじゃなかった。今でいうペイジやジョブズみたいな人間が、日本にいた。それは、第二次世界大戦の敗戦によって従来の体制が瓦解し、フラット社会が出現したために、奇人・変人が突出した結果です。ところが今は、体制が固まってしまった。IoTの時代になったら、もう一度、フラットにしないとダメですよ。

片山 かつて、日本企業を支えるのは中間管理職だといわれました。しかし、フラット社会になると中間管理職は必要なくなってしまいますね。

斉藤 いまや、中間管理職は抵抗勢力です。IoTやAIの登場した社会の新しい秩序にしたがって、急激に変化できる会社は、おそらく伸びます。しかし、近年の日本の低成長の原因は、新しい秩序への対応に失敗したからなんですね。IoTやAIどころか、コンピュータの出現に対してさえ、うまく対応できていない。

 たとえば、航空会社のプラットフォームが共通化されていないので、空港の窓口で違う航空会社の便にフライトを変更しようとすると、2~3時間も待たされる。米国は共通化されていますから、15分ほどでできますよ。つまり、日本はコンピュータが効率よく利用できる環境が整っていない。

 ほかにも、道路上で、ごく近距離に電信柱が何本も立っていますよね。どうして1本にまとめないのか。マンホールだって、なんであんなにたくさんあるのか。水道、汚水、ガスだなんだと管轄しているところが全部違う。この非効率を正すことができなければ、コンピュータやIoTは機能しません。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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