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片山修のずだぶくろトップインタビュー 第5回 斉藤惇氏(KKRジャパン会長)後編

エアビーやウーバーの台頭にまったく追いつけない日本…コストゼロで異常に高い生産性

構成=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

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片山 どうして、若いころから哲学に興味があったのですか。

斉藤 さあ、なぜでしょう。好きなんですよ。その種のものは、だいたい全部読んでますよ。もっとも、アメリカやヨーロッパの資本論だって、キリスト教のプロテスタンティズムに基づいている。シュンペーターの経済思想だってキリスト教がベースにありますよね。

片山 日本の商習慣も、仏教に基づいているといわれますね。

斉藤 そうですね。ただ、宗教観に基づいているといっても、僕はインセンティブを求めて働くというのは、動機として正しいと思うんですよ。

片山 インセンティブがないと、誰も働きませんよね。

斉藤 インセンティブを求めるというと、「無」と矛盾するかもしれませんが、経営者が報酬を得るために一生懸命働くことは、僕は正しいと思うんです。ただ、得た報酬は、リリースするべきなんですよね。金持ちになって地位や名声を得ることが、動機であるべきではないと思っています。

 もちろん、豪華な買い物をしてもいいですよ。高級マンションや船を買うのは構いませんが、僕にとってはインプレッシブではない。稚拙だなと思うだけです。むしろ、お金ではなくて、社会貢献しているような人のほうが、素晴らしいなと思いますね。 

【斉藤さんの素顔】

片山 モノに価値を見いださないということはうかがいましたが、では、食についてはいかがですか。好きな食べ物はなんですか。

斉藤 なんでも食べますよ。まったくグルメじゃないです。毎日芋を食っててもいいと思うくらい。

片山 行ってみたい場所や再訪したい場所はありますか。

斉藤 そうねえ、どこでもいいよ(笑)。

片山 でも、もう1回行ってもいい場所はあるでしょう。

斉藤 うーん、スイスの山とか、カナダの北のほうですかね。日本の京都なんかとは、スケールが違いますよね。

片山 最近読んだ本はありますか。

斉藤 『限界費用ゼロ社会<モノのインターネット>と共有型経済の台頭』(ジェレミー・リフキン著、柴田裕之訳/NHK出版)を読みました。非常にインプレッシブですが、資本主義をある程度否定していますから、その意味では、けっこうややこしいですよ。

(構成=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家)

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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