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「老害」経営者に蝕まれる日本企業…高収益企業・キヤノンの没落、巨額買収連発も効果なし

文=編集部
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 住友化学の喉に刺さった骨はサウジアラビアの石油化学合弁会社だ。事業の先行きに対する懸念が強まっている。サウジアラビアのペトロ・ラービグは現在、二期工事の真っ只中。本来は9月に建設を終える予定だったが、工期がずれ込み、17年5月頃にやっと完成する見通しだ。本格的に稼働するのは、さらに先になる。

 このプロジェクトは社内の反対を押し切って米倉氏が強引に進めてきたもの。中東の安い原料を使って競争力のある製品をつくる計画だったが、着工して7年になる。社内の優秀な人材をこのプロジェクトに投入しており、新しい事業の遂行に歪みが目立つとの指摘もある。サウジとの合弁事業には、本当に成算があったのか疑問視する向きも多い。

 コマツも収益が上向かない。16年4~9月期の連結決算(米国会計基準)の純利益は、前年同期比42%減の375億円。4~9月期としては3年連続で純利益が減少した。4~9月期の売上高は11%減の7961億円。利益率の高い新興国向けの売上比率は51%から48%に低下。アジアの売上高が2割減った。中近東・アフリカも3~5割の減収。国内も7%の減収だった。

 17年3月期の純利益は前期比33%減の920億円を見込む。コマツの歴代トップも財界活動や政府の委員、民間議員などに名を連ねてきたが、中国経済の停滞の影響をモロに受けたこともあってコマツの業績は長期の低迷から脱し切れていない。

 コマツのライバルである建機の世界最大手の米キャタピラーは、ダグラス・オーバーヘルマン会長兼CEOが16年末に退任する。新興国への経営資源の傾斜が、資源安や新興国経済の減速で裏目に出て業績が低迷。米国の製造業の「負」の側面を象徴する企業となっていた。事実上の引責辞任である。

 オーバーヘルマン氏は10年に現職に就任し、12年12月期には最高益を達成したが、16年12月期は4期連続で減収減益となる見通しだ。コマツもキャタピラーと同じ理由で減収減益だが、コマツのトップが引責辞任する話は出てこない。経営者が結果責任を負うということでは米国企業のほうが健全なのかもしれない。

“トランプ相場”でキャタピラーもコマツも株価が上昇しているが、次期米大統領のドナルド・トランプ氏は「私が知っている経営者はコマツに仕事を奪われた」「米国の労働者の雇用を奪っている」といってコマツを槍玉に挙げたことがある。コマツはトランプ相場に、本当に乗れるのか、しばらく目が離せない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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