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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

実はスタバやコメダをしのぐ人気の個人経営のコーヒー店が存在した!そのこだわりがハンパない

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

 本店の造りにも、随所で茨城色を打ち出す。化粧室の手洗い場には、笠間市の陶芸家・小林東洋氏の作品である笠間焼の手水鉢も設置した。入り口横のギャラリーは地元の無名作家の作品発表の場としても提供している。

 11年3月11日に発生した東日本大震災では本店も被災し、営業中の店は店内の食器が壊れ、工場のコーヒー焙煎機も損傷した。幸い人的被害はなかったが、被災後は電気が3日間、水道が3週間不通となり、店は休業。営業を再開したのは4月に入ってからだった。

実はスタバやコメダをしのぐ人気の個人経営のコーヒー店が存在した!そのこだわりがハンパないの画像5ドイツ製の焙煎機を説明する鈴木会長

 そんな時期でも、水戸の駅ビルに「水戸駅店」(同年5月25日)を開業、次いで「大洗店」(同7月16日)も出店した。大洗は津波の被害を受けた海岸に面したアウトレットモールの中にあり、大手カフェチェーン店が再開をあきらめて撤退したほどだったが、サザコーヒーは地元の観光協会の要望を受けて出店した。その後に客足も戻り、現在は優良店に育ったという。

 同社を取材して思い出すのは、「情けは人の為ならず」の諺だ。地域貢献をし続けた結果、信頼を高め、前述の茨城大から要請を受け、14年4月には大学内にリニューアルオープンした図書館に「サザコーヒー 茨城大学ライブラリーカフェ店」という店も出した。県内で運営する10店の業績も好調で、大手チェーンが進出してきても固定ファンが離れない店に成長した。

 日本のカフェ文化は、特定の人物が牽引したのではなく、その時代時代の各店主やスタッフの創意工夫で発展を遂げてきた側面がある。茨城という軸足を外さずに、さまざまな仕掛けも行う同社の事例は、「小が大に勝つ」ひとつの手法といえるだろう。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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