ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
「イギリスは2016年の1月に飲酒のガイドラインを改定しました。上限を下げて、1週間に飲むアルコール量を、アルコール度5%のビールで 2.6リットル、アルコール度14%のワインで1リットルにしました。そして、お酒が健康によいという根拠はなく、また妊娠中の女性はお酒を飲むべきではないことを強調しています。少量のアルコール摂取も、まったくアルコールを摂取しない人に比べると発がんのリスクが高まるとしています。だから、僕は一滴も飲まないのです」
常識君のコメントです。
「今までは少量のアルコールは体に良いというイメージがありました。少なくともイギリス保険局は少量のアルコールでも体に悪いとしたのです。しかし、それは体だけのお話で、ストレスを発散するという意味では、みんなで集まってのお酒の会や、自宅での晩酌などは心の平穏には必須と思っている人も多いでしょう。ですから、適量が大事なのです。基本的にアルコールは体に悪いと理解して、でも法律で制限されているものでもなく、おいしいお酒もたくさんありますので、自分の適量を知って飲めばいいでしょう」
難しい、安全な量
そこで極論君の意見です。
「その人にとってどのぐらいのアルコールが安全かは不明です。ですから、僕はまったく飲まないと決めたのです。アルコールは蓄積毒と思っています。アルコールは肝臓で代謝されますので、一生涯に飲めるアルコールの量が決まっていると思っています。そんな限度量があらかじめ医学的に正しくわかると、安心してアルコールを飲めますね。現状では一生涯にどのぐらいの量であれば病気にならないのかが不明です。ですから、やっぱり飲まないことにします」
一方で非常識君の意見です。
「どれだけ飲んだら安全か、危険かは人それぞれでしょうから、実はなかなかわからないですね。僕はアルコールには強いと勝手に思っているので、毎年の健康診断で異常がでるまでは、ガンガンと飲もうと思っています」
最後に、常識君のコメントです。
「肝臓は沈黙の臓器といわれます。正常な肝臓であれば、2割も残っていれば症状はでません。ですから、肝臓に異常値が出るというのは、相当に進行しているのです。お忘れなく。それぞれの立場で適量を飲んでくださいね」
(文=新見正則/医学博士、医師)
●新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務
幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。