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中沢光昭「路地裏の経営雑学」

「デブのメリット」を失う悲劇…痩せた途端に、仕事や人間関係が悪化し始める人々の謎

文=中沢光昭/経営コンサルタント

見た目が悪いと得をすることもある

 ビジネスシーンにおいて見た目が重要ということは、よくいわれます。一般的には見た目がスマートな人が優秀そうに見える、という意味合いで語られます。ですが、太っていて見た目がスマートでない場合でも、得をすることがあります。

 ヘビースモーカーであったり、常時睡眠不足であったりする場合と同様に、太っていて不健康であったり、猛暑日の逃げ場がないようなとんでもなく暑苦しい状態であると、いわゆるハンディキャップ理論が勝手に作用することがあります。周囲が「あの人はハンディを自ら背負ってもそれを跳ね返すくらいに、がんばってきたんだなあ」という目で見てくれるような効果です。

「この暑いなか、汗だくになって苦しそうなのに、明るくがんばっているなあ」「見た目が良くないのに今のポジション・仕事に就いているなんて、よっぽど仕事ができたり頭が良かったりするんだろうな」といったように、ポジティブな印象を勝手に抱いてくれることがあるのです。

 ところが痩せてしまうと、そうしたメリットはなくなってしまいます。それに合わせて言動を変えなければならないのですが、うまくいかなければ、周囲に違和感を抱かれます。

 特に、取引先など新しい人との接点ができたときに、今までは「なんかこの人(太っていてルーズな印象があるから)大丈夫かなあ?」と、ハードルの低いところから始まっていたので、普通の結果を出しても「ちゃんとした人だったんだ。良かった」となります。ところが見た目がいいと、「いい感じの人だなあ。期待できる」としたハードルの高いところから始まるので、普通の結果を出しても「あれ? なんか普通。ちょっと見かけ倒しだったのかな」となります。

 ですので、今までポジティブな評価を受けていた感覚で結果を出しても、そうならなくなってしまいます。痩せた本人がすぐそれに気づいて修正していければいいのですが、長年身につけた癖を直していくことは、ダイエットと同じかそれ以上の難しさかもしれません。

 飲食の席などで女性の同僚に対し、冗談の延長でセクハラすれすれの発言をするシーンでも、その現象はよく現れます。太っている中年男性は性的なアピールが薄いように見られがちなので、少々のことを言っても「もー、やめてくださいよ」で終わるようなことがあります。しかし、同じことを痩せてカッコいい中年男性が発言すると、「え? この人ひょっとして、いい歳なのに私のことを何かいやらしい目で見ている? 家族がいるのに、最低」といった具合に、冷ややかにネガティブに受け止められてしまうことがあります(もちろん、太っていようが痩せていようが、「気持ち悪い」と思われることが一般的かもしれませんが……)。

 こうしたメカニズムが働き、ダイエットに成功してハッピーなはずの元「中年太りのおじさん」は、ビジネスシーンでは少し調子が悪くなってしまうというリスクがあります。

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

企業再生コンサルタント兼プロ経営者。
東京大学大学院工学研究科を修了後、経営コンサルティング会社、投資ファンドで落下傘経営者としての企業再生に従事したのち、上場企業子会社代表を経て独立。雇われ経営者としてのべ15期以上全うし、業績を悪化させたのは1期のみ。
事業承継問題を抱えた事業会社を譲受け保有しつつ、企業再生とM&Aをメインとしたコンサルティングおよび課題内容・必要に応じて半常勤による直接運営・雇われ経営者も行う。シードステージのベンチャー企業への出資も行う。
株式会社リヴァイタライゼーション 代表・中沢光昭のプロフィール

Twitter:@mitsu_nakazawa

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