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福島原発、廃炉費用等が総額21兆円へ膨張…際限なき税金投入と電気代値上げで賄う

文=明石昇二郎/ジャーナリスト
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 その真意を見抜いた筆者は3年前の14年1月、「週刊プレイボーイ」(集英社)誌上で、「賠償や除染だけじゃなく、廃炉費用まで国民負担にする気か! 無尽蔵に国費を東京電力に注ぎ込む『東電“免罪”法案』を絶対許すな!!」と題する5ページの特集記事を書いた。以下にその主要部分を加筆・修正の上、抜粋して再録する。以下、時制や肩書などの内容は14年1月時点のものである。

 東電が被災者に対して行なっている損害賠償には、すでに3兆円もの巨額の税金が注ぎ込まれている。原子力損害賠償支援機構(以下、支援機構)法と、それによって設立された支援機構は、「賠償のツケを国民に回すためのシステム」といっても過言ではない。

 東電は支援機構から借金して賠償に充てている。そのため、賠償ではほとんど自腹を切らずに済んでいる。しかもそのカネは、支援機構が銀行に国債を買ってもらってつくったカネをそのまま貸し付けたものだ。

 東電は、その借金をなぜか「特別利益」として計上している。タネ明かしをすれば、すでに借りている3兆円以上のカネを借金扱いにすると、その瞬間に莫大な債務超過状態に陥り、倒産してしまうからだ。だから会計上は絶対に「借金」とは言わず、「資金交付金」と呼んで誤魔化している。国債の利息分さえ払っていない。資本主義社会下の日本の株式会社でこうした裏技が公的に認められているのは、東電をおいてほかにない。

 返済の原資は、国民の払う電気料金だ。大半の国民は選択の余地もないまま、「膨れ上がる国債の利息」と「値上げされる電気代」のかたちで搾り取られているのである。しかし、東電はこれでも満足せず、社員1000人のクビを差し出すのと引き換えに、国に対して「国費での支援拡大」をと、さらなるカネの無心をしている。なぜか。

 端的にいってしまえば、3兆円ももらったのにカネが尽きたからだ。汚染水対策の「遮水凍土壁」などの費用470億円を国から出してもらったくらいでは全然足りない。損害賠償、事故収束、廃炉、そして除染にかかる費用をすべて足せば、その合計金額は天文学的な数字となるのは間違いない。そしてそれが、福島原発事故の「総コスト」なのである。

 支援機構を使った“錬金術”にしても、東電が今や真っ当な方法ではカネを借りられなくなってしまったからこそ、苦肉の策として編み出されたものだ。会計上「借金」にすることが禁じ手なのだから、新規の枠でカネを貸せる銀行もそうそうない【注1】。

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