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政府、正社員と非正規社員の差撤廃へ…同じ仕事なら給与やボーナス、福利厚生を同じに

文=溝上憲文/労働ジャーナリスト
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政府、正社員と非正規社員の差撤廃へ…同じ仕事なら給与やボーナス、福利厚生を同じにの画像1「Thinkstock」より

 安倍政権による、正社員と非正規社員の格差を是正するための「同一労働同一賃金」に向けた法令改正の動きが2017 年に本格化する。もし実現すれば、有期契約社員やパート社員のような企業が直接雇用する非正規社員だけではなく、雇用主が異なる派遣社員の待遇も改善する可能性がある。

 同一労働同一賃金とは、職務や仕事の内容が同じである労働者に対し、同じ賃金を支払うべきとする考え方だ。ただし、同じ仕事や職務であっても異業種や企業規模によって賃金は異なるが、政府は主に「同一企業内の正社員と非正規社員の賃金の違いの是正」をターゲットにしている。

 政府は法律の改正によって、処遇改善に向けて企業の背中を押そうとしている。現在の法律では有期契約社員と正社員である無期契約社員、正社員とパート社員の均等待遇を求める規定はあるが、派遣社員と派遣先の社員の待遇を同じにする規定はない。また、有期、パートの規定にしても条文の内容が明確でないために、待遇改善を求める裁判などでは、非正規社員自身が具体的な証拠を示して、正社員と同一の仕事を行っていることを立証しなければならない。

 そこで現時点で浮上している案は、EU(欧州連合)の労働指令にならって、非正規社員に対する「客観的合理的理由のない不利益な取扱いを禁止する」という、差別禁止の条文を現行の法律に盛り込むというものだ。

余計な解釈を排除

 では、それによって現実的にどういう効果があるのか。政府の法令改正を検討する有識者会議の委員は「法律に『客観的合理的理由のない不利益な取扱いを禁止する』という条文を入れると、裁判では会社側が合理的理由を立証する責任を負うことになり、また、法の行為規範として正社員との処遇の違いについての説明責任も発生することになる。現行法の不明確な規定と違い、余計な解釈が入り込む余地がなく、会社側が正社員と非正規社員の賃金格差を正当化する合理的な理由がない限り、認められなくなる」と言っている。

 非正規社員にとっては机を並べて同じ仕事をしている正社員より給与やボーナスが低ければ、「なぜ違うのですか」と主張しやすくなる。会社の説明が曖昧であれば裁判に持ち込み、会社側が合理的である根拠を示しても裁判官が合理的だと認めなければ、正社員と同じ賃金を支払わなくてはならなくなる。

 もちろん派遣社員も派遣先の社員と同じ仕事をしているのであれば、同じ賃金にするというのが基本原則となる。

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