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富士フイルム・古森会長、独裁色強まる…狂う世界一へのシナリオ、社長解任説広まる

文=編集部

 古森氏は経営改革を断行し、事業構造を転換、業績をV字回復させた。12年6月、会長に就いた古森氏は、誰も異議を挟めない絶対的存在となった。

“ポスト古森”は不在

 16年6月1日付で助野健児取締役執行役員が社長兼最高執行責任者(COO)に就いた。中嶋成博社長兼COOは副会長になり、6月29日開催の定時株主総会をもって副会長も退いた。

 富士フイルムHDは、中嶋氏から健康上の理由で辞任したいとの申し出があったと説明した。しかし、額面通り受け取る向きは皆無だ。古森氏が、「東芝メディカルを取り逃がした中嶋社長を解任した」(証券アナリスト)との見方で一致している。

 富士フイルムHDは、医療用画像管理システム(PACS)で世界トップの座を狙う。PACS市場では国内首位の「シナプス」を擁している。X線などの画像処理診断装置で撮影した画像を保管し、そのデータを医師が見て診断するシステムだ。17年秋から、人工知能(AI)を使ってX線画像撮影用の処理ソフトを全面的に刷新したシステムを提供する予定だ。

 さらに、自社製のX線画像診断装置をPACSと一緒に売り込む狙いがある。12年3月に携帯型超音波診断装置の米ソノサイトを、15年5月に医療ITシステムの米テラメディカを買収したのは、その一環だ。

 16年10月、中国有数の複合企業、華潤集団の医薬品製造・販売会社、華潤医薬集団有限公司に108億円出資した。

 東芝メディカルの買収に動いたのは、CTや超音波装置などの画像診断機器で国内首位だったからだ。東芝メディカルを手に入れ、PACSで世界首位の米ゼネラル・エレクトリック(GE)を追い上げるシナリオを古森氏は描いていたはずだ。仮に東芝メディカルを買収できれば、メディカル・サイエンス事業の売上高1兆円に王手がかかるところだった。買収がかなわなかったことは、かえすがえすも無念だったことだろう。

 富士フイルムHDの“独裁者”となった古森氏の首に鈴を付ける人物は存在しない。今年9月、78歳になる古森氏は、終身トップの公算が一段と強まっている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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