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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

マンションが売れなくなっている…今年、少し待てば大幅下落&投げ売り開始の可能性も

文=山下和之/住宅ジャーナリスト

地価上昇、建築費高止まり、経費増大の三重苦

 ご承知のように、このところ地価はジワジワと上がっていますが、マンション適地といわれる利便性の高いエリアは、ジワジワではなく、大幅なアップになっています。建築費は一時の上昇が一服したとはいえ、高止まりしています。企業の経費や利益の削減には限りがあります。

 下げたくても下げられない、そんなトリレンマに陥っているといっていいでしょう。ふつうに考えれば、とても価格を下げられる環境ではないのです。

まずは専有面積圧縮や仕様・設備の引き下げ

 そこで考えられるのが、12月16日の本欄でも取り上げた、専有面積の圧縮という手口です。原価が坪単価200万円かかっているとすれば、それに利益などを乗せて250万円ほどで売らないと赤字になってしまいます。専有面積23坪、約76平方メートルのマンションだと250万円×23坪の5750万円で売らないと利益が出ないことになります。

 でも、その価格帯ではとても買ってもらえそうにない、このエリアだと5000万円が上限という判断から、専有面積を20坪、約66平方メートルに縮小することが考えられます。それでも、狭い部屋をつくって3LDKなどとして売り出したりします。

専有面積の狭い物件は資産価値が低い

 前回の記事でも触れたように、そんな物件を買ってはいけません。3人、4人家族では使い勝手が極めて悪くなります。「夫婦2人だから70平方メートル以下でもOK」という人もいるでしょうが、将来売却しようとしたとき、70平方メートル以下ではお客がつきにくく、資産価値が低下するリスクがあります。いずれも手を出さないほうが無難です。

 設備・仕様のグレードダウンはさらに要注意。住み心地が低下し、安全・安心面でも不安があり、将来的にはやはり資産価値の低下が懸念されます。
  

掟破りの投げ売りが登場してくる可能性も

 そうした物件に手を出さなければ、分譲会社などがしびれを切らしていよいよ投げ売りが始まるかもしれません。利益を度外視して価格の引き下げに走り始める可能性があるのです。

 分譲会社としては完成在庫を持っているだけで管理費や維持費がかかり、販売のための人件費負担もあります。それを考えれば、多少赤字になっても早く売り切ったほうが得策と考える会社が出てくるはずです。

「再販物件」が再び登場する可能性も

 それでも難しくなったとき、かつてはこんなケースが続出しました。マンション販売の不振で経営が危なくなった分譲会社から、完成前の物件を安値で1棟丸ごと買い取り、それを相場より2、3割安くして販売する、いわゆる「再販物件」「クリアランス物件」が急増したのです。

 消費者からも新築物件が中古に近い価格で手に入ると人気を集めました。早ければ17年中にもそんな事態が出来するかもしれません。

価格低下が早いか、金利上昇が早いか

 ただ、そのマンション価格の低下の一方で、金利の上昇が懸念されています。特に12月にはアメリカがついに金利引き上げを実施し、その影響が日本にも及んでいます。図表は民間機関と住宅金融支援機構提携のフラット35の金利の推移を示しています。すでに16年秋からジワジワと上がり始めていますが、17年にはこの勢いに拍車がかかる可能性があります。

 まだまだ日本の景気回復は本物とはいえず、物価上昇率も日本銀行が目標とする2%にはほど遠い状況です。日銀としてはできる限りゼロ金利を維持したい意向といわれますが、市場の勢いをどこまでコントロールできるのか、不安が残ります。

マンションが売れなくなっている…今年、少し待てば大幅下落&投げ売り開始の可能性もの画像2

価格低下だけなら返済負担がラクになる

 こうした変化が購入後の負担にどんな影響をもたらすのか試算してみましょう。
 
 たとえば、5000万円のマンションが1割下がって4500万円になり、住宅ローン借入額が4500万円から4000万円に減ったと想定しましょう。金利1%、35年の元利均等返済で4500万円借り入れると、毎月返済額は12万7028円です。それが、金利1%のままで借入額を4000万円に減らすことができれば、返済額は11万2914円に減少します。月々1万4000円以上の軽減ですから、かなり負担が軽くなります。

1割下がっても金利1%上昇で負担増加!

 けれども、4000万円の借入額に減っても金利が1.5%になっていると毎月返済額は12万2473円と、価格低下メリットはかなり小さくなり、金利が2%まで上がっていると返済額は13万2505円と、むしろ価格低下前に金利1%で買ったほうが得策になります。

 周知のように大規模なマンションだと、販売開始から引き渡しまでに2年、3年の年月がかかることもあります。そんな物件の値下がりを待っていると、引き渡し時には金利が大幅に上がっていて、むしろ負担が重くなる可能性もあります。

 17年は、価格の低下を見極めるか、金利を重視するか――。皆さんの判断力が問われる年になるかもしれません。
(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)

●山下和之
住宅ジャーナリスト。各種新聞・雑誌、ポータルサイトなどの取材・原稿制作のほか、単行本執筆、各種セミナー講師、メディア出演など多方面に活動。『山下和之のよい家選び』も好評。主な著書に『よくわかる不動産業界』(日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(学研プラス)など。

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