しかし、「アパホテルが注目を浴びている!」とこれをチャンスと受け取った元谷社長は、メールや投書に丁寧な返事を書き、宿泊無料券を贈った。こうした逆張りの発想が、アパホテルの成長の秘密かもしれない。「客のほうが緊張してしまうようなホテルではいけない」「お客様の手に、ホテルを取り戻そう!」というのが、元谷社長のポリシーだ。

大浴場が人気

 出張の際によくアパホテルを利用するという会社員は、こう語る。

「欧米ではホテルの部屋を一歩出たら、そこは公共の場です。日本のホテルでも、浴衣姿で廊下を歩くのはマナー違反だとされています。しかし、アパホテルにはだいたい大浴場があり、大浴場へ行く際は部屋から浴衣姿で行ってもOKになっています。今ではそういうホテルがほかにも増えましたが、アパホテルが走りでした。高級ホテルに泊まって緊張するよりも、アパホテルで寛いだほうがずっといいですよ」

 大浴場があるのがアパホテルの人気の理由の一つだが、大浴場に行く客は客室のバスルームを使わないので、ホテル全体の水道代を抑えることができる。客室のバスルームも、80%の湯量でもたっぷり感が味わえる、卵形のバスタブとなっている。

 また、一般的なビジネスホテルのシングルルームは15平方メートルほどの広さだが、アパホテルは11平方メートル程度のものが多い。一室当たりの投資額が少なくすんでいるわけだが、客にとっても動き回らずに用を足せるという利点がある。照明やエアコンなどを調整するパネルは、ベッドの枕元に備えられている。アパホテルの利益率は30%で、一般的なビジネスホテルの7倍以上だ。

 スペースを売るのではなく満足を売るのが、アパホテルのコンセプト。50インチの大型テレビがあり、アメリカのトップブランド、シーリーと共同開発した大型ベッドが備えられている。

 袴田の不倫の是非はともかくとして、アパホテルはデートに使うのにも遜色ないホテルといえるだろう。
(文=深笛義也/ライター)

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