
「ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠しているアプリがスマートフォンに入ったまま」という人も少なくないはずだ。ダウンロード数ではなく、実際にどんなアプリがどんな性年代にどのくらい使われているのか。
そんな「アプリの視聴率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーのビジネスマネージャー・岡田雄伸氏と按田洋平氏に、「2016年7~9月」(前編)(後編)に引き続き、16年10~12月のアプリ利用の実態について聞いた。
DeNAの「MERY」、騒動でユーザー数4分の3に
――16年末のアプリの大事件といえば、ディー・エヌ・エー(DeNA)の医療キュレーションサイト「WELQ」を発端としたキュレーションサイト全般の騒動です。DeNAは12月7日に守安功社長兼最高経営責任者(CEO)らが記者会見を行い、現在、同社が運営する10サイトは休止しています。
インターネットは大炎上し、「キュレーションはけしからん」という声はいまだに多いですが、そこで気になるのは「騒動を受けて、実際にキュレーションアプリを利用する人は減ったのか」です。まず、DeNAが最後に休止を決定、また同社のメディアのなかで一番人気があった女性向け情報アプリ「MERY」は、いかがでしょうか。
岡田雄伸氏(以下、岡田) 「MERY」は全記事の公開休止を12月7日に行いましたが、直前のDAU(1日に利用したユーザー数:App Apeにおいては1日に一度以上アプリを起動したユーザー数)は対前日比で4分の3くらいまで下がりましたね。しかし、12月5日には「MERY」は事前に疑わしいとされる記事を非公開にしており、それは全体の8割ともいわれています。
――確かに、8割の記事が非公開になったサイトを見て、次の日に「また見てみよう」とは思いにくいですね。そう考えると、ユーザー数4分の3というのは、「記事の数が減ったわりには保てている」ともいえますね。騒動に乗じて見に来た、本来の読者層とは違う人もいるかもしれませんが。
キュレーションサイトの元祖的存在の「NAVERまとめ」もアプリがありますが、他社のキュレーションアプリの利用動向は、この騒動を受けて変わったのでしょうか?
按田洋平氏(以下、按田) 騒動後も、各種キュレーションアプリの利用者は減っていません。ユーザーが求める「便利さ」と「ビジネス上の倫理観」のギャップが出ていますね。
岡田 キュレーションサイトにおいて、足や頭を使って根気よくつくられた情報は、ただ引用されるだけで、確かに引用元は表記されていますが、まとめサイトとまとめた人にしか利益は還元されません。それについての是非はありますが、騒動のさなかもその後も、キュレーションアプリは利用され続けています。