NEW

トランプの計算づくめの発言に踊らされるマスコミ…「中抜き」加速で存在意義喪失

文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授
【この記事のキーワード】, ,

マスコミを介在しない政治手法

 そもそも、マスコミへの対応も、トランプ氏は従来の政治家とはまったく異なる。マスコミは、三権(行政・立法・司法)に次ぐ「第4の権力」といわれるくらいに重要である。というのは、大統領が国民と接するときに、メディアがその間に入るからで、国民に対して大きな影響を持つからだ。ちなみに「メディア(media)」という言葉は「間に入る」という意味だ。

 ところが、トランプ氏はツイッターなどのSNSを駆使して直接国民と接し、マスコミをできるだけ介在させないようにしている。その典型が、大統領就任前の記者会見だ。この記者会見は、マスコミに叩かれている。なんと、特定のメディアからの質問をまったく無視し、批判をしたからだ。

 これまでは記者会見こそが大統領と国民をつなげる場なので、マスコミは国民の代表と見なされていた。これが第4の権力といわれる所以だ。しかし、トランプ氏に対しては、マスコミは単にツイッターのひとつのフォロワーに過ぎない。

 マスコミはトランプ氏のツイッターを批判的に報じているが、国民は偏向したマスコミ経由でなく、今や直接トランプ氏の言葉に接することができる。これが、ますますマスコミの危機感を煽り、さらなるトランプ批判につながっている。

 なぜマスコミが偉そうにしているかといえば、国民からは政治家からの直接的な情報を持っていると期待され、また政治家からも国民への情報のパイプとして丁重に扱われてきたからだ。ところが、ツイッターの登場により、マスコミの存在意義が急速に失われている。

 一例を挙げれば、トランプ氏が大統領就任前に行った台湾総統との電話会談である。マスコミはこれをトランプ氏のツイッターで知った。マスコミはこれまで国民より前に情報を仕入れて調査することによる、国民との情報格差で存在感を発揮していた。ところが、その格差がなくなると、まったく役に立たないことがバレバレになってしまった。

 マスコミ以外でも、実は台湾総統との電話会談の一方で、かつて中国国交回復を実現させ、現在も共和党に影響力のあるキッシンジャー氏が訪中していたことを知る人は多い。トランプ氏は、思いつきで電話会談をしたのではなく、中国とも連絡パイプを持つという同時並行的な「二股外交」をしていたのだ。これこそが「ザ・政治」である。

RANKING

23:30更新
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合