NEW

トランプ、国境税と経済の基本を理解していない可能性…思いつき政治で米国経済自滅も

文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授
【この記事のキーワード】, ,

今後の展開予想

 トランプ氏の主張する国境税、共和党の目指す税制改革がどう進むかは不透明だ。それでも、短期的には米国での投資や雇用の増加期待が株価やドルの上昇を支える可能性はある。中長期的には、トランプ氏の主張が一貫していないこと、保護主義への懸念から世界経済の先行き不安は高まりやすい。

 トランプ氏は特定の国や企業に国境税を課す可能性がある。すでにメキシコが国境税への対抗措置をとると表明しているように、国際社会への影響は大きい。米国内にも国境税を導入すれば他国から報復されるとの懸念がある。これまでの言動を見る限り、トランプ氏がこうした批判に耳を傾けるとは考えづらい。主張を二転三転させながら、米国第一の理想のために保護主義色の強い通商政策を進めようとするはずだ。その結果、各国間の貿易競争は熾烈化し、徐々に世界経済が縮小均衡に向かうと考えられる。

 トランプ氏は世界経済がゼロサムだと考えているようだ。米国から新興国に生産拠点を移した企業が米国内に拠点を戻せば、失われた雇用も投資も元通りになると考えている。だから、トランプ氏は大手企業などに国境税を課すと脅しをかけ、力づくで米国に戻そうとしている。

 しかし、各国の経済は密接にリンクしている。新興国からの輸入が途絶えれば、米国の経済活動には支障が出る。こうした基本的な経済の仕組みをトランプ氏は十分に理解できていないようだ。ロシアへの融和姿勢を見ても、同氏は思いつきで、自分がいいと思ったことを口にしている可能性が高い。思慮に欠ける人物を大統領に選んだ点で、米国民は大きなギャンブルを打ったといえる。

 短期的には政府の権能を行使することで経済を上向かせることはできるだろう。その流れを持続させるだけの策をトランプ氏が準備しているとは考えづらい。徐々に、国境税をはじめ、トランプ政権への批判や懸念が高まるはずだ。その場合、大統領選挙前に金融市場の参加者が懸念していたように、政治家としてのトランプ氏の実務能力のなさが露呈し、市場が混乱する可能性がある。
(文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授)

情報提供はこちら

RANKING

23:30更新
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合