しかし、1949年に定められたジュネーブ条約で、運転手がいなければ自動運転はできないことになっている。ドライバーがいない無人運転を全面的に実現するには、国際条約の改正が必要不可欠だ。つまり、現状では20年の東京オリンピックに無人タクシーを走らせるのは難しい。

私有地で無人運転バスを走らせる

 そこでDeNAは、自動運転車事業の戦略転換を図った。16年7月7日、自動運転車ベンチャーの仏イージーマイルと業務提携し、16年8月からハンドルなど運転席のない無人運転バスを使う交通システム、ロボットシャトル事業を始めると発表した。

 自動運転は私有地でしか認められていないため、ロボットシャトルはショッピングセンター、テーマパーク、大学構内、空港などでの利用を想定している。

 公道での無人運転は法整備が必要なほか、安全面など実用化へのハードルも高い。ZMPが目指しているのは、あくまで公道での無人運転だ。DeNAは、業務提携解消の理由として「ロボットタクシーの運営方針の違い」を挙げている。まず私有地で無人運転の実績を積みたいDeNAと、一気に公道での無人運転を実現したいZMPとの考え方の違いが鮮明になったといえるかもしれない。

日産はレベル3の自動運転を開始

 その一方でDeNAは、日産を自動運転事業の新たなパートナーに選んだ。日産は16年8月24日、同一車線における自動運転技術を、ミニバンに世界で初めて搭載した新型セレナを発売した。

 日産は、より野心的な目標を掲げている。レベル3の高速道路での自動運転を、ほかのメーカーに先がけて18年に実現し、20年には高速道路に比べてはるかに難易度が高い市街地での自動運転を実用化する方針だ。自動車業界では、レベル4の完全自動運転車が商品化されるのは25年頃とみている。

 DeNAは、自動車大手と組むことにより、行政当局との協議などで発言力や情報発信力が高まると、したたかに計算したとみる向きも多い。
(文=編集部)

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