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松崎のり子「誰が貯めに金は成る」

無理な「毎月○円貯金」厳守でかえって貯蓄貧乏に陥る人たち…無駄なローンやカード払い

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

 同じことは、自動車ローンやリボ払いにもいえる。家電や自動車などの大きな買い物をする際、まとまった貯蓄があったとしても、それを取り崩したくないためにローンを利用するパターンだ。

 マイナス金利の今、預金金利の数字はまず「0」から始まるが、ローン金利は確実に年利1%を超え、リボ払いに至っては15%にもなる。本来は手元にある貯蓄を使ったほうが余計な利息を払わずに済むのだが、ここでも「貯蓄」と「使うお金」という色分けがそれを阻む。

 無論、手元の貯蓄がゼロになるまで使うのは得策ではないので、最低限のお金は残してほしいが、このようにお金を色分けしすぎると、結局は総資産の増加にブレーキがかかることになる。

教育費や非常時のお金は「色分け」すべき

 ここまでは「お金に色をつけるな」という話をしたが、例外もある。ひとつは、「使う時期と金額が決まっているお金」だ。自分で支出の時期をコントロールできないお金のことで、代表的なのは子どもの教育費だろう。

 特に、私立高校や大学入学時にまとまったお金が必要になるので、児童手当や子供がもらったお年玉は家計とは別の口座に分けて、手をつけずにキープしておくべきだ。

 次に色をつけたほうがいいのは、「いざというときのために、最低限手元に置くべきお金」だ。病気やけがで会社を長期間休んで減収になった、予期せぬリストラにあって失業した、共働きの予定だったが配偶者が子育てや介護で退職した……など世帯の収入減に備えるお金だ。

 これらは、生活費の補てんに使う意味合いが強いため、よく「生活費の1年分」などといわれる。必ずしも別口座に取り置く必要はないが、手元にある貯蓄のうち、一定の金額は「いざというときのお金」であるという意識はしておいたほうがいい。

目的別に7種類以上の積み立てを駆使する主婦も

 とはいえ、お金を色付けすることで貯蓄のモチベーションが上がるという人もいるだろう。筆者がかつて取材した主婦で、目的別の積み立てを7種類以上している人がいた。

 たとえば、数年後にくる車検用の積み立て、家電買い替え用の積み立て、教育費用の積み立て、家族旅行用の積み立て、将来の介護費用の積み立て……と、通帳もすべて分けていた。金額は小さくても、コツコツ時間をかけて積み立てる行為は、日本人が得意な方法かもしれない。

 ここで大事なのは、時間をかけるということだ。金額を無理に引き上げるのではなく、時間をかけることで、結果的に大きなお金を積み立てる。「大きな枠のままでは、なかなか貯める気が湧かない」と感じる人は、自分のお尻を叩く意味でも、あえて細かい色付けをしてみるのもありだろう。

 ただし、「貯まらない」と嘆く人は、そもそも使うお金のほうにしっかり色をつけ、そこからはみ出さないようにするのが先決かもしれないが。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。
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『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』 同じ収入でも、貯まる人と貯まらない人の違いは何でしょうか? 貯まらないと嘆く多くの人の使い方には、お金が「漏れていく穴」があるのです。お金に困らない人生を手に入れるには、まずは「漏れ」を招く穴をふさいで、「溜まる」人になることからスタートを。そのコツを存分に伝授します。 amazon_associate_logo.jpg

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