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小林敬幸「ビジネスのホント」

渋谷の奇跡、一見客にも「優しい」のんべえ横丁が楽しすぎる!究極の歩き方ガイド

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者

・中距離コミュニティの可能性
 
 これからの日本の大都市圏では、中距離コミュニティが浸透していくような気がしてならない。近すぎず遠すぎない同じ沿線、同じ乗換駅を使う通勤圏程度の距離に住む人たちが、共通の趣味や嗜好によって仲間となる。普段はメールやSNSなどのネットで連絡を取り、月に数度実際に会う。

 そういう中距離コミュニティが集まる場として、渋谷ののんべい横丁や新宿、吉祥寺などの各乗換駅にある横丁の飲み屋街が機能できる。そうなれば、変動の大きい外国人客への依存度を上げずに済むだろう。

 中距離コミュニティは、特にシニア層に受けそうである。遠くの親戚よりも近所の他人。歳をとるほどに地域コミュニティが気になる。定年退職した男性ならなおさらだ。

 しかし、コミュニティといっても、同じコンビニエンスストアやスーパーを使うほどのご近所様は、絶対に気まずくしてはいけない相手だ。心理的には、敬して、やや距離をおきたくなるのが、人生経験を積んだ人の常だろう。

 とはいっても、日本各地に散らばっていてネットだけで連絡しているグループは、なかなか長続きが難しい。ネットの仲間でも、ある一定の頻度でオフ会など実際に会っていないと、グループの活動や会話に活力がなくなっていく。これは、パソコン通信の時代から今にいたるまで言われているネット上の定理のようなものだ。

 中距離コミュニティは、利益や報酬を求めているものではなく、特定の趣味と人間関係とを楽しむ、拘束力の弱い、ゆるいグループだ。こうした中距離コミュニティでは、フットサルや野球のチーム、ヨガやピラティスのレッスン仲間、テニス友達、バンドのメンバーなどいろいろできる。

 中距離コミュニティの興隆によって、さまざまなビジネスチャンスが生まれる。中距離コミュニティが集まる飲食店以外にも、その目的に合った物販の可能性もある。また、近いだの、シニアだのといっても、電車に乗って街に出て仲間と会うとなると、ファッションにも気を使う。それらは、何かしらのビジネスチャンスを生む。

 中距離コミュニティに適合したネットメディアも出てくる。中距離コミュニティでは地域に密着したリアルなサービスの利用が多いので、リアルとの連動、それも地域のリアルサービス提供者との連動したメディアにならざるを得ない。その場合、サービスの内容が地域とテーマによってあまりに多様になる。そこで、各サービス事業者が自由にそのサービスに特化したアプリケーションをつくれるように開発環境をオープンにしなければならなくなる。そう、Facebookは、そもそも大学という中距離コミュニティ圏で育ったメディアであった。

のんべい横丁の歩き方

【行く前の準備】

・4人以上は難しい

 店の定員が少なく、予約できる店も限られているので、まずは大人数で行こうとしない。せいぜい3人、できれば、1人か2人がいい。どうしても大人数のときは、2階に座敷がある「やさいや」など、キャパが大きくて(といっても、10人くらい)予約のできる限られた店にトライする。この横丁では、大人数を受け入れられる店が数軒はあるそうだ。

・お手洗いの覚悟

 横丁の共同のお手洗いは、工事現場や登山道なんかにある簡易便所だけだ。そういうのが苦手なお嬢様は、最初から連れて行かないほうがいい。また、直前に用を済ませて、行く回数を少なくするようにしたほうがいい。私は、渋谷駅かすぐ近くの大型商業施設で用を足して横丁に入る。

・軽く食事を済ませてからもいい

 がっつり食事をするという店は、下記の「食事OK系」の店に限られる。また、おなかいっぱい食べようとすると、思ったよりも高くなったりする。私は、渋谷駅の「本家しぶそば」か、表参道の「みよた」でそばを1杯食べてから横丁に立ちより、どの店でも軽いつまみと1、2杯飲むだけで長居せず、3~4軒はしご酒をして、楽しんでいる。

・のんべい横丁の店3分類

 店は、次の3つに分けるとわかりやすい。最初に(1)の店で食事をしてから、(2)と(3)の店をそれぞれ1、2軒寄っていくのがお勧めだ。なお、私が行ったことのある店を中心に挙げている。挙げていない店は、私が行っていないからコメントしていないだけで、良し悪しとは無関係だ。

(1)食事OK系:そこそこのボリュームの食事がとれる

「やさいや」(鍋)、「なだ一」(おでん)、「まぐろ処」(魚)、「鳥福」(焼き鳥)、
「ビストロダルブル(渋谷本店)」など。私はまだ行っていないが、「並木」「和かな」なども、食事がとれるという。ちなみに「まぐろ処」と「なだ一」は、兄さんと妹さんがお向かいの店でやっている。

(2)和風居酒屋系:和風居酒屋で、古い店は何十年という常連客もいる
 
「ふじまさんち」「えのき2(註:実際はローマ数字表記)」「会津」「紫水」など。「ふじまさんち」は、食事もあるので(1)と(2)の中間くらい。「紫水」は、映画やテレビのスタッフ関係者が常連客のお店。

(3)洋風バー系:比較的新しくできた、現代的なバー
 
「Bar calms」「Amulet-d」「Tight」「Bouteille」など。老舗の焼き鳥屋さんのあとに最近できた、「APPRE」は今風のバーのつくりで、日本のワインや日本酒を出す店で、「やさいや」の経営。

 なお、外国の方をお連れするのであれば、「やさいや」「Amulet-d」だと、完璧に英語が通じる。他にも(3)の店であれば、若いマスターが多いので必要な会話はできる。

 タイムスリップ感覚を楽しんでいただきたい。
(文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者)

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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