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大江英樹「おとなのマネー学・ライフ学」

過剰な健康管理、かえって長生きできないというパラドックス…特に50代以降は逆効果?

文=大江英樹/オフィス・リベルタス代表
過剰な健康管理、かえって長生きできないというパラドックス…特に50代以降は逆効果?の画像1「Thinkstock」より

 お金と健康は共通点がある。私の専門は年金や資産運用、行動経済学などですから、経済については常々高い関心を持っていますし、さまざまな専門家の意見を聞くことも多くあります。一方では、60歳を過ぎるといやでも健康のことを考えるようになります。そうすると実に不思議なことに気がつきます。実は、お金と健康というのは意外に多くの共通点があるのです。

(1)どちらも人にとっては大切なものである
(2)どちらも手に入れるために努力をする
(3)どちらも人生を楽しく過ごす手段なのに、往々にして目的と化す
(4)どちらも専門家がいてそれなりに発言しているが、いい加減なものも多い
(5)どちらも死んだら役に立たない

 このうち、私もお金については専門家の端くれですから、(3)を思いついたときは思わず苦笑してしまいました。実は専門家とまでいわなくても、両方とも俗説があって、誰もがその俗説に惑わされているというケースがあります。お金に関してはそういう俗説をあげていけばキリがないので、今回は健康に関する俗説の矛盾みたいなことを考えてみたいと思います。

 年をとると、誰もが体のどこかに具合の悪いところが出てきます。そこで多くの人が健康を維持するために食事に気をつけたり、運動したりします。最近は健康志向が高まり、テレビの番組でも健康に関するものは大変高い視聴率を得ているようです。特に最近の特徴は平均寿命よりも健康寿命に関心が高まっていることです。それは確かにそうだと思います。いくら生命的に長生きをしても、寝たきり状態になるのは誰も望んでいません。寝たきりで長生きするよりは、元気で過ごしながらある日突然逝くということを望むのは当然かもしれません。

PPKのパラドックス

 そんな風潮の中で、PPKという言葉がときどき話題になります。これは「ピンピンコロリ」のローマ字表記の頭文字をとった言葉です。先ほど述べたように、死ぬ間際まで元気に活動して最後を迎えたいという願望を表した言葉だといえるでしょう。一昨年には、この問題を扱った作家・久坂部羊氏の小説が原作のテレビドラマも放映され、話題になりました。

 ところがこのPPKには実は大きなパラドックスがあるのです。誰もが健康に気をつけて体を鍛える最大の理由はまさにこのPPKを望んでいるからなのですが、皮肉なことにそうやって体が丈夫になっていくと、そう簡単には死ねないからです。

 そもそも突然亡くなるというのは、どんな病気の場合でしょうか?

大江英樹/経済コラムニスト

大江英樹/経済コラムニスト

1952年、大阪府生まれ。野村證券で個人資産運用業務や企業年金制度のコンサルティングなどに従事した後、2012年にオフィス・リベルタス設立。日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。資産運用やライフプラニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行っている。『定年楽園』(きんざい)『その損の9割は避けられる』(三笠書房)『投資賢者の心理学』(日本経済新聞出版社)など著書多数。
株式会社オフィス・リベルタス

Twitter:@officelibertas

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