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大江英樹「おとなのマネー学・ライフ学」

過剰な健康管理、かえって長生きできないというパラドックス…特に50代以降は逆効果?

文=大江英樹/オフィス・リベルタス代表

 それはおそらく脳卒中心筋梗塞等の心臓病が多いと考えられます。こうした病気の多くは、動脈硬化などの血管の障害や高血圧などといったことです。こうした症状の原因の多くは、生活習慣によるものです。つまり食べすぎ、飲みすぎ、運動不足という不摂生をすればするほど、こうした突然死を招きやすくなるともいえます。逆にいえば、生活習慣を正し、運動や食事に気をつけていれば、こういう病気にはなりにくいため、突然死もなくなるということです。

 これはまさしくパラドックスです。極端な言い方をすれば、ずっと元気で普通に活動していてポックリ逝きたければ、不摂生をしたほうが脳卒中や心臓病でポックリ亡くなることができる、というおかしなことになってしまうからです。これでは一体、なんのために運動や食事に気をつけているのかわかりません。

 ではずっと不摂生をしていたほうがいいのか、といえばそうともいえません。ポックリの時期が問題です。若いうちから不摂生を続けていれば平均寿命近くまで行かず、もっと早い時期の40代や50代で突然死を迎える可能性が高くなってしまうからです。これはこれで非常に大きなリスクといえるでしょう。

自然体を心掛けるのがイチバン

 では、一体どうすればいいのでしょう。私は基本的には健康に留意して食生活にも気をつけ、適度な運動を続けるという正しい健康管理はすべきだと思います。ただ、そういった健康維持活動を過剰にやり過ぎる必要はないと考えています。

 世の中には健康オタクのような人がたくさんいて、健康維持に関して強迫観念のようなものを持っている人もいます。でも無理をして食べたいものを我慢したり、つらくても無理して運動したりするのは、なんだかむなしいような気がします。特に年をとって以降は無理をする必要はないと思います。

 食べたいものを制限するというのは、精神的にストレスがかかります。過激な運動も体に負担を与えかねません。結局、いつまで生きることができるか、どんな死に方をするのかは事前には誰にもわかりません。だとすれば、若いうちは節制をしたとしても、60歳以降になれば自然体で無理することなく、食事や運動もできる範囲内で留意するという程度にしておくべきだというのが私の考えです。

大江英樹/経済コラムニスト

大江英樹/経済コラムニスト

1952年、大阪府生まれ。野村證券で個人資産運用業務や企業年金制度のコンサルティングなどに従事した後、2012年にオフィス・リベルタス設立。日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。資産運用やライフプラニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行っている。『定年楽園』(きんざい)『その損の9割は避けられる』(三笠書房)『投資賢者の心理学』(日本経済新聞出版社)など著書多数。
株式会社オフィス・リベルタス

Twitter:@officelibertas

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