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東芝、近づく「運命の日」…債務超過と経営破綻が現実味、巨額損失で「紙一重」の攻防

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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東芝、近づく「運命の日」…債務超過と経営破綻が現実味、巨額損失で「紙一重」の攻防の画像1東芝・綱川智社長(つのだよしお/アフロ)

 東芝巨額損失問題がマスコミを騒然とさせている。場合によっては日本を代表する大手総合電機メーカーが債務超過に陥り、破綻処理にもなりかねないからだ。

 情報は混乱している。2016年12月28付日本経済新聞は「東芝に厳しい視線『減損3000億円規模』の見方も」と報じたが、その後、同紙の報道は「東芝、米原発事業の損失5000億円超も 政投銀に支援要請」(17年1月19日)、「政投銀が東芝支援検討 米原発損失、最大7000億円」(同)と変遷している。わずか数日のうちに減損金額が数千億円規模で増加しているのだが、これはいったい、どういうことなのか。

 そもそも事の発端となったのは東芝の子会社、ウエスチングハウス(WH)が15年12月に米エンジニアリング会社CB&Iから買収した建設会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)ののれん代だ。

 のれん代とは実際の企業価値と買収価格の差額で、のれん代の減損処理額が買収価格を上回ることは通常ない。CB&Iが証券取引委員会に提出した資料には、買収価格は2億9000万ドル(当時のレートで約270億円)と書かれていたという。

 S&Wの買収は実はちょっと複雑だ。表面上は債務超過会社だったため、WHは現金を支払わずにS&Wが抱えていた債務と仕事を引き受け、今後CB&Iが受け取ることになっていた収入を資産として引き受けた。つまり決算上に現れている資産と負債に、見えない資産と負債、さらにのれん代を加えたものが買収価格だったわけだ。

 そしてこの買収契約では、買収完了後の15年12月31日の時点で、11億7400万ドル(約1326億円)の想定運転資本額があるはずだったが、実際にはそれがなかったという。そればかりか、WHの算出値は9億7770万ドル(約1173億円)のマイナスだった。

「両社の間では21億5100万ドル(約2581億円)の差異がありました。両社の間で価格に差異がある場合は調整手続きを取ることになっていました。そこでWHは買収価格の調整を申し入れた。そして契約では買収価格を調整するために第三者会計士を選任して判断を仰ぐことになっていたのですが、CB&Iは第三者会計士の差し止めを求めて訴えてきました」(東芝広報・IR部)

 問題はそれだけではなかった。S&Wが受注していた工事でも、とんでもない損失が隠れていた。S&Wは08年4月には米ジョージア州の原子力発電所から1サイト(2基)。その1カ月後の同年5月月にはサウスカロライナ州の原発から1サイト(2基)、計2サイト(4基)の原発を受注していた。

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