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新卒1年で社長に就任
長野県の田中康夫知事(当時)が始めた「コモンズ」という名の地域づくり運動に賛同して、期限付きで福祉幹(課長級)になった佐藤崇弘氏が05年12月、宮城県仙台市で障害者の就労を目的とするイデアルキャリアを設立したのがLITALICOの始まりだ。09年、佐藤氏は仙台市長選挙に出馬するため退任。落選したが、社長に復帰せず、起業家を支援する個人投資家に転身した。
佐藤氏の後を継いで社長に就いたのは、長谷川敦弥氏だ。長谷川氏は、08年に名古屋大学理学部を卒業して入社。佐藤氏に見込まれ、1年後の09年8月、社長に大抜擢された。
もともとは障害者の就職支援が主な事業だったが、長谷川氏が社長になってから発達障害のある児童を支援する教育事業に乗り出した。障害を持つ人が自立するには、大人になる前の成長過程から支援が必要だと考えたからだ。その後も、子育て情報サイトや放課後デイサービスなど、障害を持つ子どもとその家族を対象とした事業を拡大している。
14年6月、イデアルキャリアからウイングルと変わっていた社名をLITALICOに変更。16年3月、東証マザーズに上場した。拠点数は障害者就労支援サービスが58、発達障害児支援の学習教室が70、ものづくり教室が5の計133(16年9月末)で、17年3月末には143に拠点を増やす計画だ。従業員は1490人。
上場初年度の17年3月期の売上高は前期比18%増の85億7300万円、営業利益は同20%増の6億7400万円、純利益は同36%増の4億700万円の見込み。
穐田氏は14年10月、インターネットサービスを展開していくために、LITALICOの社外取締役に就任した。インターネット事業を拡大し広告収益を安定させ第3の柱に育てていく計画だ。東証マザーズへの上場も指南したが、株式新規公開(IPO)後に社外取締役は退いている。
穐田氏が上場にかかわったのは、カカクコム、クックパッド、みんなのウェディングに続きLITALICOで4社目だ。同氏はLITALICOの発行済み株式の9.8%にあたる170万株を保有する第3の株主。筆頭株主は長谷川氏の32.0%・556万株、2位は佐藤氏の18.2%・316万株である。
時価総額を飛躍的に高める穐田氏の手法は“穐田マジック”と呼ばれている。
(文=編集部)