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トラックドライバーのなり手がいない…物流パンク寸前、ヤマトはついに「ライバル」鉄道を利用

文=編集部
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トラックドライバーのなり手がいない…物流パンク寸前、ヤマトはついに「ライバル」鉄道を利用の画像1アサヒビールとキリンビールが手を組んだ。トラック輸送から鉄道コンテナ輸送へ。写真は2017年1月の出発式(アサヒビール提供)

 モーダルシフトが注目されている。幹線輸送をトラックから鉄道などに転換することでCO2(二酸化炭素)排出量の削減や物流の効率化を目指す取り組みだ。

 日本で唯一の鉄道貨物会社、日本貨物鉄道(JR貨物)の2015年度決算を見ると、鉄道事業は3年連続の増収となった。輸送量は3077万トンと前期比で46万トン(1.5%)増加した。コンテナ列車積載率は統計が残る00年度以来初めて80%を超え、定時運行率も過去3年間で最高の94.4%まで向上した。モーダルシフトの進展が業績に寄与した。

 注目は17年3月のダイヤ改正(3月4日)に伴うJR貨物の新サービスだ。目玉は次の2点。

(1)東海-東北間に自動車部品輸送の専用列車を増発
(2)東海-九州間に積み合わせ貨物輸送の専用列車を新設

(1)の専用列車は、「TOYOTA LONG PASS EXPRESS」というトヨタ自動車の専用列車のことである。トヨタは06年から自動車部品の鉄道輸送を開始した。現在は笠寺(名古屋南貨物)と盛岡ターミナル間を1日1往復体制で運行。20両編成でコンテナ100個(12ft換算)の部品を900キロ離れた岩手県内の工場に向けて運んでいる。

 これを3月のダイヤ改正で増発し1日2往復にする。岩手工場で昨年11月から生産を開始した新型SUV「C-HR」の部品輸送のための増発である。

(2)の積み合わせ貨物便とは、宅配便などを積み込んだ貨物のことで、近年ネット通販の多様化、拡大に伴い取扱量が大幅に増加。これまでは東海道・山陽線で積み合わせ貨物輸送の専用列車を運転してきたが、3月からは名古屋ターミナル-福岡ターミナルに新たに専用列車の運転を開始する。

 トラックから鉄道へのシフトが確実に進んでいる。
 

深刻なトラック運転手不足が背景にある

 国内の貨物輸送の全体像を見てみよう。輸送距離も勘案したトンキロベースで見た場合、トラックが約6割、内航海運が約3割で、鉄道はわずか4%のシェアしかない。諸外国の鉄道の物流シェア(トンキロベース)は米国40%、ドイツ21%、フランス16%などとなっている。日本の4%(平成23年資料)はかなり低い水準だ。高速道路網の整備が進み、かつては国内貨物輸送の主役だった鉄道は昭和40年代以降、シェアを落とし続けてきた。しかし、この数年、鉄道輸送が大きく見直されてきている。

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