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中村芳子「お金のことで苦労せず、人生を楽しむためのお金の基本」

老後貧困の最強の回避法は、「65歳以降も楽しく働いて収入を得る」手段を身につけること

文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

一生働くって何歳まで? 75歳、80歳まで

 そういうわけで、結婚してもしなくても、子どもを産んでも産まなくても、一生働くことが、よいライフプラン、マネープランの基本だ。

 では、一生働くとは何歳までだろう。今は老後の公的年金は原則65歳から払われ、会社の定年も65歳になりつつある。60歳でいったん退職して、再雇用されて65歳までというかたちが多い。第一の目標は、この65歳まで。それでも「30代で出産して仕事を辞めようかな」と考えていた女性には、目からウロコの発想転換だろう。

 でも、もう一歩先まで考えたい。最近まで60歳から年金が支払われていたのは、戦後の男性の寿命が65歳くらいだったからで、年金で暮らす余生は5年くらいだった。これがちょうどいい感覚だと思う。人生の終わりの1割が老後。それまでの9割までは現役でいく。これが筆者が提唱する「老後一割説」だ。
 
 日本人の平均寿命は女が87歳、男が81歳(平成27年厚生労働省調査)。とすると女性は78歳まで、男性は73歳まで現役で働きたい。

 女性の寿命が90歳になるのは時間の問題といわれている。65歳で仕事を辞めると、老後は25年もある。その間を年金で暮らすことになるが、年金でカバーできるのは生活費のせいぜい3分の2くらい(会社員で厚生年金に加入していた場合)。退職後の生活費をひとり年210万円とすると、その3分の1、年70万円は貯金で補わなくてはいけない。年70万円×25年は1750万円。夫婦2人だとこの2倍弱。でももし65歳から74歳までの10年間、年70万円の収入があったら、貯金で用意すべきは15年分1050万円だ。

 65歳以降に楽しい仕事があれば、老後のための貯金がぐんと少なくてすむ。その分、現役時代、つまり30~60代の人生をもっと自由に謳歌できるというわけだ。

確定拠出年金も不動産投資もいいけれど、最強の老後プランは「働き続ける」

 老後にそなえて、確定拠出年金や不動産投資を考える人が増えている。いろいろな手段を検討し実行するのはいいことだ。ただし不動産投資は慎重に。ローンを借りての投資はリスクが大きい。

 しかし、それ以上に効果的なのは、65歳まで働き続ける覚悟を決め、65歳以降も収入を得る手立てを考えることだ。そのために今から、自分の働き方をデザインしていくこと。今の職場でスキルを高めながら、いろいろな人とつながり、想像力を磨いていこう。
(文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー)

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

1985年よりFP業に携わる日本のFPの草分け。 女性FP協会(現WAFP関東)の設立者の一人、初代理事長。 1991年に会社を設立。パーソナル・コンサルティング、金融記事の執筆、金融企画のアドバイスなどを行っている。マネックス証券創業時より7年間アドバイザーをつとめる。みずほ銀行の夫婦向けマネーサイト「おうちのおかね」(2010―2016)を監修。辛口だが、お金だけにとらわれないユニークで温かいアドバイスが人気。


主な著書に『50代のいま、やっておくべきお金のこと』『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(以上ダイヤモンド社) 『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方』(三笠書房) などがある。『3日でわかる聖書』『養子でわくわく家族』『神の津波』など、お金以外の著書や翻訳もある。

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