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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

がん、すべて医師任せでよいのか?がん恐怖症候群蔓延、健常者の20倍の自殺率か

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士
がん、すべて医師任せでよいのか?がん恐怖症候群蔓延、健常者の20倍の自殺率かの画像1「Thinkstock」より

 医師から「あなたは○○がんです」と告げられたら、ほとんどの人は大きな衝撃を受けることでしょう。

 現在、どんな状態で、これからどのように病状が進んでいくかといった詳しい話を聞く以前に、「がん」と診断された事実に激しく動揺してしまうのではないでしょうか。

「がんと言われて、頭が真っ白になってしまい、病院から家までどうやって帰ったのか覚えていない」というがん患者の話もよく聞きます。

 国立がん研究センターが1990年から20年間にわたって行った調査では、「がんと診断され、告知から1年以内に自殺した人の割合は健常者の約20倍」と報告されています。日本全国の40~60代の男女13万人を対象に行われたものですが、がんが見つかった人はこのうちの1万1000人で、診断後1年以内に自殺した人は13 人、外因死で亡くなった人は16人でした。

 これらの数字から、がんの診断から1年以内の自殺リスクは24倍、外因死のリスクは19倍であることが明らかになったのです。外因死というのは、注意が散漫になり、歩行中に車にはねられたり、高いところから落ちたりして亡くなるといった事故死のことです。

 がんと告げられた人は、あたかも「あなたはもう死ぬ」と言われたかのように大きなショックを受け、恐怖感や絶望感にさいなまれるのです。

 たとえば、死亡原因第4位の肺炎。体力が衰え免疫が下がっている人にとっては致命的となる病気であり、決して侮ることはできないものですが、もし「あなたは肺炎です」と診断されても、おそらくがんのように大きなショックは受けないのではないでしょうか。ましてや、肺炎と言われて自ら命を絶つ人などいないでしょう。

 確かに、がんは恐ろしい病気ですが、日本人は必要以上にがんを恐れる「がん恐怖症候群」といえるでしょう。がんと告げられ、「自分はもう死ぬのか」と絶望的になるのも、「これまで一生懸命がんばってきたのに、なぜ私ががんにならなきゃいけないの」と悲観的になるのも、がん恐怖症候群の表れです。

 人間の身体とは非常に不思議なもので、心が「自分はもうだめだ」「もう死ぬ」と思ったら、その方向に向かっていきます。がん恐怖症候群にとらわれてしまうと、生気はますますがんに侵食されていきます。「もうだめだ」と思う気持ちに身体が同調し、免疫力も大きく下がり、死の確率も高くなってしまうのではないでしょうか。

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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