ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
ランク付けの負の側面
あまり話題になっていませんが、一部進学校において独自に存在する仕組みとして、成績別のクラス分けがあります。すべての進学校が導入しているわけではありませんし、絶対的な良し悪しはありません。ただし、子供との相性の問題を考えなければならないとは思います。
どの学校に行こうとも、中学受験を合格して入学している時点で、勉強に対して誰しもある程度の自負を持っています。もちろん初めの数年は部活や友人たちとの楽しい時間を過ごすので、そんなことは忘れています。
ところが大学受験を意識し始める頃になって、小学校のときに通っていた塾以来久しぶりにランキングを付けられて、それに基づいたクラスが編成されます。ここで人によっては突然下位クラスになった事実に対して、一般的な水準からは偏差値も高く、本人もそう思ってきたのに、いきなり「あなたは劣っています」と言われたように受け止めて、過剰な劣等感を味わってしまいます。
本人もそれまでに薄々感じてはいますが、学校からオフィシャルに伝えられるのは、また一段とショッキングなものです。具体的にどう感じたかはもう忘れてしまいましたが、実は筆者自身がそうでした。そこからなかなか立ち直れない人も出てきます。もちろん「そんなことよりもっと辛いことは社会に出ればたくさんあるのだから、それくらいでくじけてはダメだ」という理屈も真なりですが、10代中盤でその局面を迎えた場合に、心のどこかで引きずってしまう人が出てしまいます。
年単位、場合によっては卒業するまで成績のランキングが固定化されるために、そこからがんばってもなかなか環境が変わりにくいのです。そのなかで不断の努力を続けなければならないというプレッシャーが発生します。
自我もだいぶ確立されてきて、思春期であることも影響するのでしょう。教育のおかげで年齢に比して色々と考える力は付いてきているために、くよくよと考えてしまう子もいるでしょう。
下位にランクされたことで発奮してがんばる生徒もたくさんおり、逆に成績上位に位置づけられた生徒にとっては、モチベーション向上にもつながるので、学校側としてはメリットを認識してこうした仕組みを採用しているのでしょう。ちなみに、下位に位置づけられた生徒のその後の人生を考えて、成績別クラスの仕組みを廃止した学校もあるようです。その学校は、それだけが理由ではないにせよ、結果的に進学実績は伸びていったという情報もあります。