ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
(3)の「資産形成についての知識が深まる」ですが、そもそも確定拠出年金で預けたお金は60歳になるまで引き出せません。その間に物価が上昇して、たとえば、現在は1杯350円程度の牛丼が30年後には3000円になっているかもしれません。引き出せない間に貨幣価値が変わってしまえば、それは大きなリスクとなるでしょう。
しかも、住宅ローンを返済したり教育資金が必要だったりと、60歳前にお金が必要になるケースは多くあります。皮肉なことですが、資産形成についての知識が深まれば深まるほど、「やらないほうがよかった」ということになるのではないでしょうか。
確定拠出年金の加入者拡大は公務員のため?
専業主婦にとってはあまり利用価値がなさそうなのに、なぜ今年から加入できることになったのでしょう。実は、これで大きなメリットを享受するのは、専業主婦ではなく公務員です。
公務員は給料が高く(人事院給与局の「平成27年国家公務員給与等実態調査」によると、国家公務員の平均給与月額は41万6455円)、確定拠出年金の節税メリットをフルに受けることができます。しかも、リストラされる心配が少ないので、60歳まで引き出せないという点も心配いりません。
そのため、「今回の加入者拡大は公務員のためだ」と理解すればスッキリします。ただ、「税金から給料をもらう公務員が節税にもなる制度を利用するのは、いかがなものか」という議論がありました。そこで、専業主婦を前面に立てて、「私たちもついでに……」というスタンスを取ったのではないでしょうか。
実は、公務員の年金は、確定拠出年金に入れるようになって4階建てになりました。それについては、次回に詳しくお伝えします。
(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)
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