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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

大塚家具、経営苦境へ…深刻な客離れでブランド毀損、久美子社長の戦略迷走か

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「マーケティング的には、現代の市場での中価格帯販売は非常に難しいです。過去の日本は、“いつかはクラウン”というキャッチコピーがあった自動車購入のステップアップに見られるように、『大衆車』→『中級車』→『高級車』といった買い替えの慣習がありました。ですが、長期の不況により市場は二極化しています。一般的には大衆的な価格帯に収まる商品が支持され、一部の富裕層に高級品が売れるという構図です。これにより、単に中価格帯の商品群を取り揃えた店舗というだけでは、買う側にそのバリューが伝えづらいのです。また、消費者がニトリやIKEAの価格帯を期待して大塚家具に来店すると、中価格帯の商品を割高に感じてしまいます。そのあたりのイメージのギャップも業績の数字に表れているのではないでしょうか」(同)

意図するイメージと戦略の乖離


 そのため、中価格帯を軸に低価格帯市場の一部を吸収しようとした大塚家具の戦略は、時代の流れに沿うものでは必ずしもなかったということだ。さらに、低価格帯店舗的なプロモーションも裏目に出ていると有馬氏。

「大塚家具は、昨年の9月より中古家具の買い取りやリユース事業を開始しました。しかし、この路線が強調されてしまうと、さらに低価格帯販売店のイメージが強められることになります。これは、本来久美子社長が意図していたイメージ戦略とは乖離する恐れを含んでいます」(同)

 一方、勝久氏は新会社「匠大塚」を設立し、家具販売業に復帰。ブレない高級路線で客入りは好調だという。親子で経営手腕の差が出てしまっている印象だ。では、久美子氏は、今後大塚家具をどのような方向へ持っていけば、業績を回復できるのだろうか。

「薄利多売にしてでも市場規模を大きくしたければ、今よりもさらにディスカウント販売をしてマスマーケットを狙う方法があります。また、業務取引市場で大規模受注を獲得するのもひとつの手でしょう。あるいは、独自ブランドの取り扱いなどセレクトショップ的なマーチャンダイジングで新たなイメージの付与が上手くいけば、新規の顧客層を取り入れられるかもしれません。いずれにしても現状の価格戦略を見直して、店舗イメージのポジショニングを明確にするべきでしょうね」(同)

 価格戦略は小売店には操作しやすいが、それが失敗すれば老舗企業でも一転凋落の一途をたどってしまうのが経営の難しいところ。ブランドイメージ、マーケットでのポジショニングをしっかりと見極めることは、企業を取り仕切る人間にとって必須の資質といえそうだ。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)

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