実際、ケイティが死亡したのも、カイロプラクティックで首を曲げられたときに椎骨動脈が裂け、脳卒中を引き起こしたことが原因と報道されている。国民生活センターのホームページには、「手技による医業類似行為の危害」の主な事例として、接骨院でカイロプラクティックを受けた「東京都・30代・女性」が肋軟骨を負傷、その後めまいが出て、整形外科医に頸椎捻挫と診断されたケースなどが紹介されている。

 さらに恐ろしいのは、仮にカイロプラクティックを受けてケガや障害が生じても、「その原因がカイロプラクティックの施術」と証明することが困難なことだ。国民生活センターに相談を寄せた、前述の「東京都・30代・女性」も、弁護士や自治体の法律相談、警察、保健所などに相談したが、「因果関係がはっきりしない」と対応してもらえなかったという。

「鍼灸師や整体師など業界関係者の間では、カイロプラクティックで起きた重傷事故の事例をよく耳にします。表に出ていない例も含めると、実際の施術事故は、かなりの数に上るかもしれません」(同)

素人同然の「自称カイロプラクター」も多い現実

 とはいえ、すべてのカイロプラクティックに問題があるわけではない。欧米やオーストラリアなど、カイロプラクティックは多くの国で行われているメジャーな手技療法で、A氏も部分的にはその効果を認めているという。

「『背骨のゆがみを治して患部の痛みを取り除く』という理屈は、間違いとは言い切れません。確かに、背骨のゆがみを知らせるために体が痛みを発しているケースもあるので、原因であるゆがみを矯正すれば痛みが引くのもわかります。症状によっては、カイロプラクティックでも効果は得られるでしょう」(同)

 しかし、それはあくまでも十分な知識と経験を持つ施術者が治療することが前提だ。鍼灸師や柔道整復師などの場合、専門の教育機関でカリキュラムを受けた上で国家試験に合格しないと免許を得ることはできない。ところが、日本ではカイロプラクティックは民間療法に位置づけられており、誰でも簡単に「カイロプラクター」を名乗ることができるという。

「日本にもカイロプラクターを養成する専門学校があるにはありますが、半日のセミナーを受けて翌日から開業することもできるのが実態。リスクを伴う施術なのに、にわか仕込みの素人が専門家のふりをして治療を行っている場合が非常に多いのです」(同)

 こうした施術者のレベルの低さ、“自称カイロプラクター”がのさばる現状こそが、カイロプラクティックの一番の問題なのだという。

「そもそも、カイロプラクティックは、患者が10人いたとして、その10人すべてに有効とは限らない手技療法です。それにもかかわらず、あたかもカイロプラクティックを受ければ誰でも体が良くなるかのようにうたっている広告も多い。あれでは、患者を実験台にしているようなものですよ」(同)

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