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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

99%の人々から搾取するディズニー型ビジネス=夢が醒めた後…日本の絶望と階級闘争

文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役
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 庶民が慌ててつかんだマクドナルド型の住宅やマンションには、実はほとんど価値がない。投資家や事業家が手にする、投資マネーに支えられた不動産や、ハコの中のソフトウェアやコンテンツで人々に夢と魔法をかけ続けることができるディズニー型ビジネスモデルにおける不動産に価値がある。東京五輪が終了したのちの2021年からはじまる「次なる四半世紀」において、このセオリーはさらに明確になるであろう。

日本社会の崩壊

 しかし、この事実は、日本社会を着実に崩壊へと向かわせることになる。一方的に富を手にする、1パーセントの人たちがディズニー型ビジネスモデルにおいてやろうとしていることは、99パーセントの一般庶民に、相変わらずディズニーランドの手法で魔法をかけ続けて、なんの得にもならない「夢」を追い求めさせ続けることにあるからだ。夢だけではなんの富も生み出しはしない、仕掛ける側はこのことをよくわかっている。そして、決して浮かばれることのない一般庶民を相手に商売を続けていくのだ。

 社会構造は硬直化し、社会の中で、一度でも転落してしまうと、二度と這い上がれなくなっていくのがこれからの日本の社会だ。エリートの家の子供は、潤沢な教育費を投じて育てられ、またさまざまな庇護を受けながら、社会の主要な地位に就く。この路線から脱線をしてしまうと、元の地位に戻れなくなるかもしれないので、危ない橋は決して渡らない、渡らせない、となるわけだ。

 非正規社員では、結婚もできず、子供も持つことができずに社会の底辺であり続ける。現実の厳しさからいっとき逃れることができるのが、バーチャルリアリティが提供する夢の世界だ。現代の若者は「もの」や「かね」に執着しない、といわれる。そんな動機を持てないほど、将来に対する若者の期待値が落ちているのだ。現代の若者は「冒険をしない」というのが当たり前だ。エリートであればあるほど大企業のぬくもりの中に身を委ねたほうがトクだからだ。

 しかし、こんな社会がいったいいつまで続くのだろうか。どうやら、2021年からのかなり早い段階で日本社会は崩壊の危機を迎えるそうだ。

「夢と魔法」による篭絡

 歴史は繰り返されるという。古今東西、世界は同じ過ちを繰り返してきた。今でも世界のあちらこちらで、人類は憎みあい、罵りあい、そして殺し合っている。こうした状況下で、日本だけが、のんびりとした平和を保っていくことはできない。日本の国内でもすでに国民間の資産格差の拡大、新たな階級社会誕生への萌芽が出始めている。

 ディズニーの夢から多くの一般庶民が目覚めたときに、彼らは現実社会であまりに理不尽な格差と差別が生じつつあることに大きな怒りを感じるかもしれない。ウォルト・ディズニーが語った「みんながディズニーに来て幸せを感じてほしい」というセリフが、皮肉にも、バーチャルリアリティをはじめとした「夢と魔法」に篭絡されている合間に、日本社会に大きな階級格差が生じていることに、彼らは今さらながら気づき始めることだろう。

 そのとき、99パーセントの人々は、資本を貯めこむ1パーセントの人たちに対して新たな階級闘争を挑むかもしれない。さらにこうした闘争が、テロ勢力をも呼び込み、資本主義に対する聖戦として日本社会を混乱に陥れるかもしれない。

 その大混乱の果てに、日本はどのような国になっているのだろうか。国立社会保障・人口問題研究所の予測によれば、2048年には日本の人口はいよいよ1億人を割り込むこととなる。そのとき、舞浜にあるディズニーランドでは、まだミッキーとミニーがステージで踊り続けているのだろうか。マクドナルドのハンバーガーを頬張っている人たちはどんな人たちなのだろうか。

 ディズニーとマクドナルドの先の日本の姿はまだ少し霞んで見える。
(文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役)

●牧野知弘(まきの・ともひろ)
オラガ総研代表取締役。金融・経営コンサルティング、不動産運用から証券化まで、幅広いキャリアを持つ。 また、三井ガーデンホテルにおいてホテルの企画・運営にもかかわり、経営改善、リノベーション事業、コスト削減等を実践。ホテル事業を不動産運用の一環と位置付け、「不動産の中で最も運用の難しい事業のひとつ」であるホテル事業を、その根本から見直し、複眼的視点でクライアントの悩みに応える。

情報提供はこちら
『2040年全ビジネスモデル消滅』 第1章 マクドナルドが目指した「量的充足」社会の実現―一九七一年からの四半世紀を展望 第2章 ディズニーランドがこだわる「質的充足」ビジネスの展開―日本の絶頂期八〇年代にやってきたディズニーランド 第3章 マクドナルドはなぜ行き詰ったのか―九六年以降の日本社会の変質 第4章 ディズニーランドはなぜ三年連続で値上げできるのか―社会の変質の先にあったディズニーランド型価値観の創出 第5章 マクドナルド型ビジネスモデルに見る今後の価値下落―二〇二一年以降の社会の展望 第6章 ディズニー型ビジネスモデルによる価値創造―二〇二一年以降の不動産価値 第7章 ディズニーの夢から醒めたとき―二〇四六年に向けてのクライシス amazon_associate_logo.jpg

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