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テレビ局が編成した番組表に合わせてテレビを見る時代の終焉…人々はまだ映像を見ている

文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授
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あなた(が)テレビ

 最近、テレビを視聴できるワンセグ機能付き携帯電話を所有した場合、NHKと受信契約を結ぶ義務があるか否かという点をめぐって裁判で争われたことは記憶に新しい。地裁の判決で、「契約義務はない」とする判断が示された。時代の変化で生じた放送法と受信料制度の“穴”が、改めて浮き彫りになった事例であろう。

 若年層がテレビ番組を視聴する時間は減少しているが、YouTube、ニコニコ動画、Hulu、Amazonプライムなど、テレビ視聴率に反映されないものの、日常生活のさまざまな局面であらゆる映像に接する機会は増加している。放送法上では放送局に該当しない映像配信事業にも、テレビや放送を示唆する名称が使用されている。たとえば、Tubeはブラウン管の略称であり、テレビを意味する話し言葉なので、YouTubeは「あなた(が)テレビ」であり、インターネットを介した映像配信はインターネット「放送」と呼ばれている。

 また近年では、スポーツ競技において、スタジアムや街頭などにある大型の映像装置を利用して観戦する「パブリック・ビューイング」が人気を集めている。オリンピックやサッカーワールドカップなどは各地のスタジアムやスポーツ・カフェなどで、集団視聴される。またコンサート等スポーツ以外のイベントでも実施される。それほど大規模ではなくても、学校や集会場に集まり、応援する光景がテレビのニュースなどで流れる。家庭内での視聴では決して味わえない一体感が味わえる。試合の動向に多くの観客は一喜一憂し、感動を共有しているのである。さながら昭和の時代の「街頭テレビ」である。

 こうしてみると、若者のテレビ離れという現象は、正しくは「時間と場所をコントロールしながら映像を観るようになった」といえるであろう。
(文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授)

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